金色の。
昨夜は地元の花火大会だった。職務上、こうした伝統的な催しのために奔走するかたたちとも日々接するので、無事に開催できてよかったと思いながら帰宅した。その一方で、例えば、来年の東京オリンピック等、金銭的に莫大な利潤を得るひとと、環境破壊や搾取によって生活をより苦しくさせてしまうひとという明暗を分ける開発型の大規模な施策には、どうも気持ちが動いてゆかない。「暴力的」な開発というものには懐疑的だ。「根こそぎ」という感覚の中にある強者の傲岸を常に危ぶむ。「根こそぎ」が快楽であることを、心のどこかで嗅ぎ取ってしまうからでもある。一部のひとの快楽によって、捻り潰されてしまうささやかな喜びを看過できない。
「根こそぎ」あるいは「根絶やし」という発想が、一義的な発想のもとに狂信的に遂行されるとき、人間はほとんど例外なく、その進む道をあやまつ。
だが、そこに僅かでも希望の光を見出そうとするならば、その根こそぎにされた荒地にも、麦の芽生えることがあり、かつてファージョンが『ムギと王さま』という子供向けの本で語ったような奇跡が繰り返されはしまいかということだ。「村に、ひとりのばかがおりました」という衝撃的な一文で始まるこの物語は美しい。「エジプトの王は、エジプトのムギよりもえらいのじゃ」と豪語するラー王は、目の前にひろがる金色の麦畑を焼き払う。しかし、その結末は・・・。
様々な芽や根を摘みとりながら、庭を丹精するひとなら真剣に考える。この芽は残すか、この芽は摘むか。この根はどこにつながっているか。その深い洞察なくして、優しく鮮やかな庭は育たない。
by kokoro-usasan
| 2019-07-28 12:31
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