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こぶとりじいさん

a)
台風の翌日は気持ちのいい快晴で、上京した友人と、その東京住まいの息子たちふたりと一緒に、谷中を散歩した。東京でこの友人と会うときは、息子もおまけでくっついてくる確率が高い。なんで、くっついてくるんだい。おばさんは、あんたたちのお母さんと、ゆっくり積もる話をしたいんだよ、と思わないでもないのだけれど、それはちょっと彼らを茶化したいだけのはなしで、本当は、あんなふうに、わたしたちの散歩にのんびりつきあってくれる青年たちとの時間は、おそらく、ただの愚痴に陥るかもしれない積もる話より、ずっと贅沢な時間をわたしに残してくれるものなのだろうと思う。牧野富太郎氏のお墓もお参りした。野良猫ともしゃべった。揚げ立て30円のコロッケも歩きながら食べた。古書ほうろうにも寄った。ここでは、最初、4人ばらばらに本を眺めていたのに、気づくと母子3人は奥の漫画のコーナーでぴったり肩を寄せ合って立ち読みしていて、なんだかちょっと笑えた。友人にはもうひとり息子がいて、そちらは今、金沢で建築の勉強をしているという。こうなったら、いつかその子を手なづけて、2対3でもいいから、古本屋でわたしにくっついてくるヤツを作らなくては。頼むゾ、次男。

b)
近所の本屋で、親子連れが、「こぶとり爺さん」の話をしているのが聞こえてきて、母親が、「こぶとり爺さんの本があるよ」としきりに子どもに薦めているのを聞きながら、なんだか、口の悪いおかあさんだな、と思っていた。というのも、こぶとり爺さんの、「こぶとり」を、「小太り」だと勘違いしてしまっていたのだ。表紙に、太ったお爺さんの写真でも載っている本なのだろうと思った。よくもまぁ、そこまでずれた勘違いをするものだと我ながら思う。カラダジュウに、なにかシニカルなギャグのウイルスがひろがっているのやもしれぬ。そういえば、かつて、わたしが、心焦がれた初恋の人は、わたしのことを、「つる姫じゃー」的ギャグのセンスがあると「誉めて」くれたのであり、心焦がれている人に、そんなふうに褒められて、非常に複雑な思いを抱いたことを、きのうのことのように思い出せる。わたしは、どちらかというと、内田善美漫画のヒロインのような気持ちでいたのである。なんで、「つる姫」なんだよ。ばかばか。ってね。笑。彼は慧眼であっただろうか。

しかし、「瘤取り」よりも、「小太り」のほうが、諍いもなく、のどかでいいような気もする。
by kokoro-usasan | 2013-09-23 13:49 | つぶやき | Comments(0)


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