武装解除
きのうの新聞で、自ら丸腰で紛争地に入っていって、双方に「武装解除」を説得する仕事があることを知りました。(確か、以前、少し読んだことがあったと思うのですが、忘れてしまっていました・・・)記事は、その指揮をとってきた伊勢崎賢治さんへのインタビューで、伊勢崎さんは、「国際紛争を解決する手段として武力行使はしない」という日本の平和憲法下、現存する自衛隊を矛盾なしに生かす方法は、「武力行使」ではなく、この「武装解除」のための「軍事監視団」として、より高度な知識と判断力を持った組織に作り上げることではないかとおっしゃっていました
国が攻め込まれたときに、なにもしない、ということはあり得ない。もちろん防衛のための備えはするが、紛争収拾のために、海外に出てゆくときには、「武力行使」ではなく、「武装解除」部隊として、単に武力を行使するという安易な方法ではない、ひたすら高度な平和維持活動を行うことが、今のところ、憲法9条によって、世界から、「非武装国家」とみなされて、そうした活動がしやすい日本に期待されることなのではないかというのです。アメリカを同盟国と思うなら、その同盟国を(ひいては世界を)守る道は、一緒になって武力行使に加担することではなく、それを防ぐ「武装解除」のスキルに、世界でもっとも優れた国になることではないか。
これは、何兆円という武器を買い込むよりも、おそらくずっと難しいことなんだろうと思います。でも、憲法の前文にはこう書いてあります。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く
自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの
安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する
権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない
のであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、
自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を
達成することを誓ふ。
つくづくすごいことが書かれている憲法だと思います。これほどのことが、既に「前文」に書かれているこの憲法において、今、自民党が草案にいれている、「家族を大切にしよう」なんて言葉が、どれだけ「浮いて」しまうか、そこそこの文学的センスがあれば、すぐわかりますよね。
とにかく、人が、心から必要としているのは、からまってしまって辛いものを「ほどく」助け、つながることを求めているものをそっと「結ぶ」助けであって、からまっているからといって断ち切ることでもなければ、身動きできないほどがんじがらめに縛ってしまうことでもないのではないのでしょうか。
「武装解除」という非常に危険な仕事に携わっているかたたちが、この世界にいることを思い出させてくれた、きのうの記事に感謝します。
国が攻め込まれたときに、なにもしない、ということはあり得ない。もちろん防衛のための備えはするが、紛争収拾のために、海外に出てゆくときには、「武力行使」ではなく、「武装解除」部隊として、単に武力を行使するという安易な方法ではない、ひたすら高度な平和維持活動を行うことが、今のところ、憲法9条によって、世界から、「非武装国家」とみなされて、そうした活動がしやすい日本に期待されることなのではないかというのです。アメリカを同盟国と思うなら、その同盟国を(ひいては世界を)守る道は、一緒になって武力行使に加担することではなく、それを防ぐ「武装解除」のスキルに、世界でもっとも優れた国になることではないか。
これは、何兆円という武器を買い込むよりも、おそらくずっと難しいことなんだろうと思います。でも、憲法の前文にはこう書いてあります。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く
自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの
安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する
権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない
のであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、
自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を
達成することを誓ふ。
つくづくすごいことが書かれている憲法だと思います。これほどのことが、既に「前文」に書かれているこの憲法において、今、自民党が草案にいれている、「家族を大切にしよう」なんて言葉が、どれだけ「浮いて」しまうか、そこそこの文学的センスがあれば、すぐわかりますよね。
とにかく、人が、心から必要としているのは、からまってしまって辛いものを「ほどく」助け、つながることを求めているものをそっと「結ぶ」助けであって、からまっているからといって断ち切ることでもなければ、身動きできないほどがんじがらめに縛ってしまうことでもないのではないのでしょうか。
「武装解除」という非常に危険な仕事に携わっているかたたちが、この世界にいることを思い出させてくれた、きのうの記事に感謝します。
by kokoro-usasan
| 2013-07-26 11:27
| きょうの新聞から
|
Comments(4)
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よも
at 2013-07-26 11:38
x
まつがってたら、ごめん。
DDRじゃなかったかの?
人によっては武装解除だけでなくその後の環境維持環境復興までするから。
国連職員の給料の安さに泣き・・・
緒方さんみたいな素晴らしい見本もありましたね。
憲法改悪反対です。
根っからの自民党員である父すら大反対です。
こんな子供だましで国民を侮蔑するのかと怒っております。
戦中派の気骨でしょうか。
少年のあの日、川原でどんな恐ろしい目にあいそうになったか、
いまだに口を閉ざしております。
DDRじゃなかったかの?
人によっては武装解除だけでなくその後の環境維持環境復興までするから。
国連職員の給料の安さに泣き・・・
緒方さんみたいな素晴らしい見本もありましたね。
憲法改悪反対です。
根っからの自民党員である父すら大反対です。
こんな子供だましで国民を侮蔑するのかと怒っております。
戦中派の気骨でしょうか。
少年のあの日、川原でどんな恐ろしい目にあいそうになったか、
いまだに口を閉ざしております。
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kokoro-usasan at 2013-07-26 12:35
レスが早すぎてびっくり!ふふ。
いかにも、DDRです。わたしも確か緒形さんが活躍されていたころに、その活動を知ったと思うのですが、人間って努力して、自分の意識レベルを保つようにしないと、すぐ下がってしまうのだなぁって、少し反省しているところです。
今回の憲法の件は、よもちゃんのお父上のように、どうか、自民党の内部から、「ちょっと、待て」という、人間的な度量を備えた、気概と勇気ある声がたくさんあがってくれることを、本当に心から祈っています。だてに「自由」民主党ではないところを見せてほしいです。
いかにも、DDRです。わたしも確か緒形さんが活躍されていたころに、その活動を知ったと思うのですが、人間って努力して、自分の意識レベルを保つようにしないと、すぐ下がってしまうのだなぁって、少し反省しているところです。
今回の憲法の件は、よもちゃんのお父上のように、どうか、自民党の内部から、「ちょっと、待て」という、人間的な度量を備えた、気概と勇気ある声がたくさんあがってくれることを、本当に心から祈っています。だてに「自由」民主党ではないところを見せてほしいです。
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めざ
at 2013-07-26 14:43
x
私も昨日の記事は「いいなあ!」と思っていました。保存版ですばい!
丸腰で紛争地に出かけることで信頼してもらえるということ。とても勇気のいることです。
世界の中には「日本=丸腰(ほぼ丸腰)」と見て、信頼してくれる人や国があることに感謝です。とても難しいことだけれど、このことを大事にしていくことが日本の将来につながると思うのです。
それにしても自民党って、自由「民主党」なんだと思ったら、やたらと可笑しくなっちゃって・・・。シニカルな党名ですよね。
丸腰で紛争地に出かけることで信頼してもらえるということ。とても勇気のいることです。
世界の中には「日本=丸腰(ほぼ丸腰)」と見て、信頼してくれる人や国があることに感謝です。とても難しいことだけれど、このことを大事にしていくことが日本の将来につながると思うのです。
それにしても自民党って、自由「民主党」なんだと思ったら、やたらと可笑しくなっちゃって・・・。シニカルな党名ですよね。
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kokoro-usasan at 2013-07-27 00:18
まず、上のコメントで、わたし、「緒形」さんと、誤変換したまま送信してしまってましたが、よもちゃんの書いたとおり、「緒方さん」、緒方貞子さんです。コメント欄は編集できないので、こちらで訂正しますね。すみません。
そうね、めざさん。毎日の夕刊のインタビュー記事はいつもなかなか読み応えがあってわたし結構ファンなんです。そこで初めて、その存在を知って、あとで色々著作に当たってみたりするのも楽しいです。
ちなみに、今回のインタヴュー、ネットでは、ここで読めます。
もし興味のあるかたがおられましたら、読んでみてくださいね。
※http://mainichi.jp/feature/news/20130725dde012040041000c.html
そうね、めざさん。毎日の夕刊のインタビュー記事はいつもなかなか読み応えがあってわたし結構ファンなんです。そこで初めて、その存在を知って、あとで色々著作に当たってみたりするのも楽しいです。
ちなみに、今回のインタヴュー、ネットでは、ここで読めます。
もし興味のあるかたがおられましたら、読んでみてくださいね。
※http://mainichi.jp/feature/news/20130725dde012040041000c.html
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
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