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霜柱

フランス軍によるマリへの容赦ない空爆に驚いていたら、アルジェリアでも問題が起き、人命は容易く奪われてゆく。軍隊を持つということは、それをオンにするスイッチを、国家に委ねるということでもある。国家以上の人間性と知性を国民が努力して持たないならば、その舵取りは、一票の重ささえ違憲状態のままごり押しされてゆく政治の放恣を糾せないまま、好戦的な平和という幼稚な旗振り理念のあとについてぞろぞろと集団自殺へと追い込まれてゆくだけなのかもしれない。それを憤るというよりも、なぜ、「それでもいい」と人が思い込まされてゆくようになるのか、それが今とても気になる。

不慮の事故でカミュが亡くなったのは46歳のときだという。わたしはその歳を越えてしまったので、随分早い死だったのだと、今ごろになって思った。死により未完となってしまった自伝的小説が、映画になって今公開されている。舞台はおりしも、アルジェリアだ。タイトルは le premier homme 。「最初の人間」。わたしはまだ映画も見ていないし、小説そのものも未読だけれど、「最後の人間」ではなくて、「最初の人間」というのが、どういうことなんだろうと気にかかる。日本だったら、明石原人か、なんて悪い冗談が、ふっとアタマをかすめた。いずれにしても、いろいろ気にかかる。いろいろ抱えながら進む。
by kokoro-usasan | 2013-01-21 00:26 | 日々 | Comments(2)
Commented by http:// at 2013-01-21 17:55 x
子ども時代に読んだ本の影響で、いつか機会があればトンブクトゥやタッシリ・ニジェールに行ってみたいと思っていました。
マリの内戦でトンブクトゥの遺跡が破壊され始め、そこから国際介入が始まり・・・。
アルジェリアはテロ行為の鎮圧のためと言うけれども、やりきれない思いの残る鎮圧。テロにつながる背景がそもそもの原因なのでしょうが・・・。
宗教をはじめとする主義主張の違いが高じてなのでしょうが、宗教が人々が平和に人生を送れるようにするための考え方の一つと思えば、非常に矛盾に満ちた存在にしか思えない。
人は進歩しているとは考えにくいですね。思索の果てに平和というものは存在するのでしょうか・・・という疑問さえ湧いてきかねません。
インターネットで世界はつながるようになったけれども、平和が促進されているとも思えないし。インターネットそのものが軍事技術の転用なのだからと言ってしまえばそこで終わり。もっとお互いに寛容になれるようなつながり方でありたいものです。
寒さ厳しき折、暖かくしてお過ごしくださいませ。
先日、立派な霜柱を見て嬉しくなった私。雪国生まれは霜柱を見ると喜んでしまうのです。
Commented by kokoro-usasan at 2013-01-22 10:48
コメントありがとう、めざさん。トンブクトゥの遺跡というのは知りませんでした。それはどんな本だったのかしら。子どものころに出会って印象深かった本って、なにかとても示唆的なものを含んでいたりしますよね。「小さなめざさん」が今そばにいたら、ひとつひとつそのお話を聴いてあげたい気がします。

アフリカに限らず、植民地政策が破綻してゆくなかで、その土地が抱えこむことになる深い後遺症は、その土地に生まれ、その土地を母国とする人たちをこそ、残酷な流血で引き裂く悲劇を生むのですが、そこにハイエナのように現れては、対立する両方に武器を売り込む武器商人の存在を、世界は放射能さながら抑止できずにいる。他の生物ではあまり聞いたことのない、種の保存ならぬ種の自滅スイッチが、人間の心のなかにあること、パラドックスですがそれがいつも宗教と背中合わせにあることを思う時、なにかとても複雑な気持ちになります。


閉じられていないもの


by kokoro-usasan

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