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月のあかり

ゆうべの満月きれいでしたね。深夜、仕事から戻り、夜の庭にまわると、月明かりに照らされて、草木たちが静かに蒼くわたしを迎えてくれました。月の夜の、そんなふうに仄かに発光しているかのような神秘的な庭の佇まいもまた素敵です。お日様によってできる影法師とはちょっとニュアンスの違う、月光が作る影って幻想的でとても味があります。木漏れ日のように月明かりが草むらに落ちていたりして・・・。

蒼く静かな夜の庭に佇んでいると、思わず童話の世界に心が迷い込んでゆきそうになります。夜に暮す生き物たちのお話だとか、月明かりの下で催される小人たちのお茶会だとか・・・。花壇の浜菊も、昼間見るときの賑やかな感じとは違い、なにか厳かに英雄の登場を待つ侍女たちの群れのように淑やかです。笑。

ふふ。でも、もう夜は冷えますね。足元からしんしんと寒さが伝わってきました。このところ、毎日、病室で、家に帰りたい、いつもの御飯が食べたいと哀しい顔をするようになった母のことも気がかりです。大切な人に心細い思いをさせなけれなならないことはやはり切ないこと。この庭ももともとは母が丹精した庭です。亡くなった父が、最初に作って自慢の種にしていた池もいまでは埋められて草がはびこり、子供だったわたしのために自作してくれた鉄棒も今はありません。夜の庭で、ふと、そんなふうに思い出が蘇ってくるのも因果なものです。

さて今日は、看護士さんの許しを得て、お弁当を作って病院にゆくことにしました。食べてくれるといいけれど。今日で、10月も終り。病院のあと、職場で月締めの仕事を済ませたら、もう、11月。11月は好きな季節です。ちょっと寒いけれど、「あったかくして、おやすみなさい」って言い合える季節が、なんとなく嬉しくて。


おまけ
月のあかり_e0182926_8431060.jpg
※記事と全然関係なくてすみません。
 台所で、天窓を見つめている「かぼす」君の後姿です。
 知人からいただいたのですけど、ずっとおきっぱなしで、
 後姿がちょっと、不満そう?笑。
 このごろ、あんまり、ちゃんと料理作らないものだから。てへへ。
by kokoro-usasan | 2012-10-31 09:31 | 日々 | Comments(3)
Commented by めざ at 2012-10-31 15:40 x
お母さま、お弁当うれしかったでしょうね。
どうして病院のご飯は美味しくなく作れるんだろうと思うほど美味しくないですよね。病院にもよるんだけれども。
20年以上前に母が亡くなった病院は、中野の国立病院だったけど、不思議と何を食べても美味しかった(入院しているのは母なのに、なぜか私が味を知っている)。のちに、栄養士の知り合いにその話をしたら、その病院で給食実習をしたことがあって「そうなのよ、特別なものは仕入れてないのに美味しいのよねえ」と言ってました。手間を惜しまないのでしょうか。

じいちゃんが家で寝たきりになって「家に帰りたい」としきりに言いだしたときは結構困った。生まれてから50歳くらいまで住んでいた田舎の家に帰りたいのか、自分が今寝ているマンションに帰りたいのか、それも分からず。レンタルの介護ベッドに寝ているから病院にいると思っていたようですが。
「やっぱり家がいいんだなあ」とつくづく思った次第。
私はときどき現実が嫌になることがあるけれど、ではどこに行きたいのか、どこかに帰りたいのかと問われても答えられない。知らないところに行きたいのかも。中年女の一人旅したいなあ。
Commented by kokoro-usasan at 2012-11-01 00:14
♪めざさん、コメントありがとう。
それがね、母はスネちゃって、お弁当あまり食べてくれなかったの。くすん。であるからして、残った分は、職場で自分で食べました。
そしたら、あんまり、おいしくなかった・・・。(--)
やっぱり、手間惜しんじゃったからかなぁ。ふふふ。

すすっと月締めの仕事を終らせるつもりが、結局残業になり、さきほど、てくてく帰ってまいりました。そうですねぇ、けして悲観的な意味ではなく、帰るとしたら、やはり空や大地に・・・。今はそんなことしか思い浮かびません。最近は、ネットで瞬時に世界のことがわかるけれど、子供のころは、ほんの少しの情報だけで、遠い異国に想いを寄せました。でもあのころの心のほうが、遠くまで羽ばたいていたような気がしないでもありません。空間だけでなく時間も旅していたものね。

そうそう、わたし、「本の旅日記」というブログが大好きだったのですけど、本で旅するのも素敵ですよね。最近、あまり本を読んでいないので(最近?ずっと?笑)、たまには、すてきな本の旅をしたいです。
Commented by めざ at 2012-11-01 13:17 x
あらまぁ!
忙しい日々ですもの。
今度はお弁当箱にケーキを忍ばせていって、二人で一緒にお茶をしてはいかがでしょうか。
弁当箱は弁当以外、入れてはいけないわけではないのですから。
あっという間に11月ですねえ。ちょっと待ってよと、言いたい。


閉じられていないもの


by kokoro-usasan

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