梅雨の空
梅雨寒。坂本龍一と大貫妙子のコラボレーションで出した「UTAU」という2枚組アルバムの大貫妙子のほうをさっきから聴き始めた。雨空で薄暗い部屋にそれはしっくりとして。
「希代のスケベ親父」とは、さすがに友も書いてはおらず、こちらが勝手にはしょったのだけれど、彼が送ってくれた本は、わたしを確かに楽しませてくれている。お礼を言わなくてはね。
大岡玲さんの「文豪たちの釣旅」を読み始めたのだ。釣りなど、小学校のハイキングで鱒釣りをさせられて、自分が釣った鱒が、釣り糸にぶらがって勢いよくこちらに向って飛んでくるのを見て、釣り竿を放り投げて逃げ出した子供である。釣り場のおばさんに、そのテイタラクを冷たく非難されて以来やったことがない。にも関わらず、何の因果か、わたしには、釣りの雑誌など出している友人がいるのだ。
「読みもしないくせに定期購読」している素晴らしい信頼関係である。
でも、読むときは読んでいるのだ。いつも、いつも、釣り竿を放り投げて逃げるわけではない。上述の本には14人の文豪が出てくるのだけれど、初めから順番に読むような行儀のよい人間ではないわたしは、「コンドーム」という文字に真っ先に心奪われて、「福田蘭堂」の項を読んだのだった。
わたしはこの蘭堂という人物を評する大岡さんの言葉が好きだ。「どんなに友情がある相手に対しても、どこか乾いた感覚が漂っているところが実に独特である。」「非情というと、言いすぎだろう。離人感というのともちがう。きわめて利発な子供の容赦のない視線のようでもあるし、ある種の達観した観点があるとも見える」コンドーム釣法など編み出してしまうそのひとは、「充分生臭いくせに」、「人界離れ」したところがある。
おや、ちょっと待って。
なんだか、「釣り」というものが、そもそも、わたしには、そんなものであるような気もするよ。
今朝は、14人の文豪の中から、「幸田露伴」を選んでみた。冒頭に出てくる露伴の怪談話にも惹き込まれたけれど、著者と同じように、最後の幸田文の文がとても好くて、しんみりとした。露伴という人は、娘に「水の扱い」(家事としての)をとても厳しく躾た人だけれど、同じ水でも、早世した息子と出かけた釣りの思い出はまた格別のものだったのだろう。
「希代のスケベ親父」とは、さすがに友も書いてはおらず、こちらが勝手にはしょったのだけれど、彼が送ってくれた本は、わたしを確かに楽しませてくれている。お礼を言わなくてはね。
大岡玲さんの「文豪たちの釣旅」を読み始めたのだ。釣りなど、小学校のハイキングで鱒釣りをさせられて、自分が釣った鱒が、釣り糸にぶらがって勢いよくこちらに向って飛んでくるのを見て、釣り竿を放り投げて逃げ出した子供である。釣り場のおばさんに、そのテイタラクを冷たく非難されて以来やったことがない。にも関わらず、何の因果か、わたしには、釣りの雑誌など出している友人がいるのだ。
「読みもしないくせに定期購読」している素晴らしい信頼関係である。
でも、読むときは読んでいるのだ。いつも、いつも、釣り竿を放り投げて逃げるわけではない。上述の本には14人の文豪が出てくるのだけれど、初めから順番に読むような行儀のよい人間ではないわたしは、「コンドーム」という文字に真っ先に心奪われて、「福田蘭堂」の項を読んだのだった。
わたしはこの蘭堂という人物を評する大岡さんの言葉が好きだ。「どんなに友情がある相手に対しても、どこか乾いた感覚が漂っているところが実に独特である。」「非情というと、言いすぎだろう。離人感というのともちがう。きわめて利発な子供の容赦のない視線のようでもあるし、ある種の達観した観点があるとも見える」コンドーム釣法など編み出してしまうそのひとは、「充分生臭いくせに」、「人界離れ」したところがある。
おや、ちょっと待って。
なんだか、「釣り」というものが、そもそも、わたしには、そんなものであるような気もするよ。
今朝は、14人の文豪の中から、「幸田露伴」を選んでみた。冒頭に出てくる露伴の怪談話にも惹き込まれたけれど、著者と同じように、最後の幸田文の文がとても好くて、しんみりとした。露伴という人は、娘に「水の扱い」(家事としての)をとても厳しく躾た人だけれど、同じ水でも、早世した息子と出かけた釣りの思い出はまた格別のものだったのだろう。
by kokoro-usasan
| 2012-06-12 12:42
| 日々
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