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支離

支離_e0182926_0285028.jpg庭の福寿草が咲いていた。福寿草は日が当たると開き、翳ると閉じる。

クロッカスや、小指の先ほどの可愛い菫も咲いていた。

三宮麻由子さんの「目を閉じて心開いて」という本を読んでいる。三宮さんは目が見えない。以前、三宮さんの別の著書を読んだとき、目が見えないとは思えないくらい、日々の風景を鮮やかに切り取って書かれていたので、「見えない」のではなく「視力が悪い」ということなのだろうか?と半信半疑な気持ちになったことがある。

生まれつきの全盲だったわけではない彼女は、幼児のときに失明し、見えていたときの微かな記憶が残っている。前述の著書の前半で、目が見えないという世界について彼女の語った言葉は、わたしの心を打った。
「暗い」とか「闇」とか、「黒」とか、そういうことではないのだと彼女は言う。それは見えるという「感覚」を失うということなのだと。見るというひとつの「感覚」が、自分の感知機能から脱落するということ。

ひょっとすると五感という感覚に限らず、人の心の中にある喜怒哀楽の感受性についても同じで、何かを感じたくても、それを感じるべき部分が抜け落ちてしまっていることによって、他の残された感受性で補いながら生きているということも考えられるのではないかと思った。「ひとりでも平気」と思えてしまうことが、「一人では生きてゆけない」と素直に思える人の孤独よりも、人として危険なのは、きっと、抜け落ちてしまったものを、うまく補えていないということかもしれないのだったから。

今、友人から、君のメールは支離滅裂だと、からかうようなあたたかいメールが来た。
そうかなぁと読み返してみたら、自分では、いたって、普通に思えた。(笑)
ほら、やっぱり、なにか、補えてないんだな、このアタマ。
補えていないのに、自分で気づかないんだから困る。
by kokoro-usasan | 2012-03-16 01:08 | 庭の楽しみ | Comments(0)


閉じられていないもの


by kokoro-usasan

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