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ひょっこりひょうたん島で。

ひょっこりひょうたん島で。_e0182926_11433362.jpg一昨年新潟に旅したときに持って帰った浜菊が咲いた。去年は咲かず、もうだめなのかと思った。調べてみると、浜菊は太平洋側の花だそうで、わざわざ新潟から持って帰っても別段珍しい花というわけではなかったのだけれど、そのときは、一目ぼれのようなものだったので、それはそれで、大切な新潟みやげなのだ。

小さな鉢に可憐な花を咲かしていた新潟のその浜菊は、いまや、実に野性味あふれる風情で、枝かと見まがうほどのしっかりした茎を四方八方に伸ばし、その先にいくつもの小さな蕾をつけた。蕾は小さいのだけれど、開いてくると、なかなか大きく咲く。鉢植えのときは猫をかぶっていたらしい。笑。
(嗚呼、この携帯カメラ、絶望的な映り。というか絶望的にほったらかしの庭)

職場の知人のTさんの句集に、
 枯菊を焚いてあたりの日暮れかな
という句がある。もっと冬枯れてきてからの句だけれど、なにかとても日本の風景という気がして好きだ。

母が、目を離すと、必要以上にあれこれ食べてしまう。食べたことを忘れてしまうからなのだ。おやつや果物を目の届かないところにきっちり隠しておけばいいのだけれど、お腹が空いたときに可哀想だと思い、それなりに出しておくと、その日の「頭の具合」で、あればあるだけ食べてしまう。ふたりで食べようと思っていたケーキなども、気が付くと、すっかり無くなっていることがあり、所在ない思いがする。

「ひょっこりひょうたん島」は実は「死んだ子供たちの物語」なのだと、生前井上ひさしさんは語ったことがあるらしい。生きて大きくなれなかった子供たちへの鎮魂。井上さんにとって、それは、戦争の経験からくるものだったのかもしれない。

でも、わたしは、ときどき、自分が生きながらにして、すでに「ひょっこりひょうたん島」で生活しているような気持ちになることがある。井上さんだったら、こんな暮らしも、きっととびきりのユーモアで描いてくれたかもしれない。そうだ、とびきりのユーモアだ。テレビで氾濫するささくれだった笑いなんかじゃなく、温かく、人を後押ししてくれる、それ。
by kokoro-usasan | 2011-10-08 12:01 | つぶやき | Comments(2)
Commented by めざ at 2011-10-08 22:00 x
いわゆる「食べざかり」ですね。
うちは「盗難事件」「身近な人がみんな犯人」ミステリーが発生しました。
困って医者に相談したら、いずれおさまります、でもどれくらいの時間かはわかりません、というケンモホロロなお答え。
「食べざかり」、対処法が難しゅうございますね。
Commented by kokoro-usasan at 2011-10-09 00:08
そうですね、食べざかりなんですね。笑。なにも食べてくれなくなったら、そのほうが辛いことですものね。母に対処するというよりも、自分自身がそれを認める哀しさを引き受けられるかどうかが、試されているのだと感じています。食べざかりっていう発想は、まさにユーモアがあって、ナイスです、めざさん。ありがとう。
それに、わたしが子供のころは、しょっちゅう、内緒でつまみ食いしてましたから、今更、偉そうなこと言っちゃいけませんよね。ふふ。


閉じられていないもの


by kokoro-usasan

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