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台風

台風上陸。建物そのものよりも窓が壊れるのではないかという不安が大きかった。天災があると、家まわりの様子を見に外に出かけた年配の方が犠牲になるニュースがよく耳に入る。家や家族のことを思う責任感が、かえってそうした悲劇を招いてしまうのだろうと思うとなんだかやるせない。お年寄りなのに無謀なことをと思う一方で、お年寄だからこそ、一途になってしまうこともあるのだと、最近、周囲の年配のかたたちを見ていて思うようになった。皆、誰かの役に立ちたがっている。ありがとう、おかげで助かりました、と言われたい。
そんなことを考えて、少し、しんみりした。

風雨がおさまるにつれ、秋の虫の声が大きく聴こえるようになってきた。ふと、先月の末、由比ヶ浜の砂浜で一緒に遊んだ仲間のひとり丸山さんのインスタレーションのことを思い出した。今、丸山さんは、横浜トリエンナーレで、作品を制作中なのだという。石鹸の粉でアスファルトの上に大きな大きな花の絵を描いている。ただ、戸外の作品なので、雨が降ると消えてしまい、最初からやり直しなのだ。儚すぎると思う人もあれば、そこがいいんだよと言う人もある。こんな台風では、あとかたもなく消えてしまっただろか。でも、そう想像してみたとき、なんだか、やはり、それは、とても、素敵な試みに思えてきたのだ。

丸山さんのHPをのぞいてみると、今回の作品に関するご自身の紹介があって、その冒頭の部分の短い詩が印象的だった。


廃油石鹸の粉で花の絵を描く。
雨が降ると流され、また花の絵を描く。
空に向かっておまじないをする。

Draw a big flower with powder soap.
Rainfall wipes out the big flower, draw it again.
Chant an incantation towards the sky.

                    (丸山純子 HPより  8/6-11/6「Utopia Totopia」)

おまじない、って言葉、なんとなく、可愛らしい。
日々のこと、ときには、素直におまじないしてみることも、大事なんじゃないかと思えてきたりして。
by kokoro-usasan | 2011-09-21 21:58 | 日々 | Comments(0)


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