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どうぞ、と。

よくHPを拝見させていただいている新潟の片山佳代子さんが
先日、記事の中でこんなことを書かれていました。

●損得を超えた世界
 今の世の中は、損得勘定が幅を利かせています。損か得かで考えれば、
綿や糸紡ぎのために、半年間、夫に単身赴任をしてもらうのは割に合うこと
ではありません。私が仕事で得ている収入を上回る経費が、単身赴任には
かかってしまいます。仕事を辞めて、綿も、「わたの会」も見捨てて、子どもを
つれて引っ越せば、経済的には大助かりです。

  (注釈:※片山さんはご主人の赴任地である新潟で綿の栽培を始め、
  糸紡ぎの運動をされていましたが、この10月にご主人が秋田に
  異動になることが決まりました。ちょうど、綿の収穫と糸紡ぎの
  時季に重なってしまった為、片山さんは、自分の育てた綿を
  しっかり最後まで面倒みるために、半年だけ、ご主人に先に
  秋田に行ってもらい、ご自分はしばらく新潟に残ることにしたのでした)

 しかし、自然を見ていますと、「損をしたっていいじゃない」という思いが
湧いてきます。自然は本当に惜しみなく私たちに与えてくれます。一粒の種が、
何十倍にもなって返ってくるのです。お金を払えと要求してくることもありません。
ただ、どうぞと言わんばかりに、実をならせているのです。だから私も、もし与える
ことができるものがあるのなら、どうぞと差し上げたいのです。なぜなら、私自身が
多くのものを与えられて、ここまで来ることができたからです。とりあえず、今、生活
に困らないだけのものが与えられていて、私を支えてくれる人たちが大勢います。
本当にありがたいことです。そのすべては、天の計らいと言うしかありません。
だから、経済的なことや、将来の不安も全て、天の計らいに委ねたいと思います。
そして、今は、今ここでやるべきことに集中したいと思うのです。

片山さんのこれらの言葉は、けっして目新しい内容でも、画期的な発見でもなく
むしろ、言い古された、と言ってもいいくらいの言葉たちなのかもしれないのですが、
わたしは、この大事な心のありかたを、しょっちゅう、忘れます。
毎日、庭の植物を見ていてさえ、なにかむしょうに殺伐とした思いで、心が苛立ち、
自分ではそれと気づかずに、損得勘定に揺さぶられていることも少なくありません。

どうぞ、と言って差し出したら、なにもかも身包みはがされて、哀しみの底に落ちる
だけなのではないかという恐怖を、わたしはまだ拭えません。その恐怖が、どこから
きているのか・・・。ブッダが、この世は「苦」であると、すでに悟っているところのもの
を、まだジタバタと浅い了見で抗っているせいかもしれません。

きのう、読ませていただいたこの片山さんの言葉、いつか、自分のものとして、
静かに語れるようになりたいと思わずにはいられませんでした。
by kokoro-usasan | 2010-09-26 11:52 | ことば | Comments(0)


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