いともたやすく飛ぶことができた頃
今日は外出したので、電車のなかで、ここひとつき、遅々として進まなかった
ヘミングウェイの「移動祝祭日」をやっと少し読み進めることができた。
記憶が虚ろなところもあるので、時々後戻りしながら。
読み返してよかったのは、前回は読み飛ばしたと思えるこの部分を再確認できたことだ。
彼の才能は蝶の羽根の鱗粉が綾なす模様のように自然だった。ある時期まで、 彼は蝶と同じようにそのことを理解しておらず、模様が払い落とされたり、損なわれたりしても、気づかなかった。のちに彼は傷ついた羽根とその構造を意識し、 深く考えるようになったが、もはや飛翔への愛が失われていたが故に、飛ぶことはできなかった。残されたのは、いともたやすく飛ぶことができた頃の思い出だけだった。(新潮文庫P205 高見浩訳)
これはヘミングウェイがフィッツジェラルドについて述べた章の書き出しの部分だ。
だが、この章の「彼」に似た人は、この世の中に、時折現れる。あたら、その才能を浪費してしまったか、もしくはその才能ゆえに自滅せざるを得なかった人たちだ。
その複雑な因果関係や心理に、今敢えて踏み込んで考えるほどの気力がわたしにはないけれど、「いともたやすく飛ぶことができた頃の思い出」という部分だけをとるならば、それは、才能の多寡に限らず、あらゆる人に、なにかしら心当たりのある、そこはかとない疼きのような感覚をもたらしはしまいか。
飛ぶことができなくなってしまった蝶に、お決まりの末路ではなく、なにかもっと心あたたかで静かな日々を用意してあげることはできないものだろうか。最近のわたしはそんな風に思えてならない。是非はわからないけれど。
笑いあいたい。哀しい心のひとたちとも。
さてさて、今夜も冷えますね。
靴下もういちまい穿いちゃうもんね。
・昼に「サッポロ一番みそラーメン」を作って食べた。野菜もたっぷり摂ろうと思い、
白菜だの人参だの冷蔵庫のなかの野菜をまるで煮込みのようにいれて食べたのに、
食べ終わったあとで、「最近、野菜を摂ってないなぁ」とつぶやきながら野菜ジュースを
飲んでいた。これは一種のボケだろうか。
ヘミングウェイの「移動祝祭日」をやっと少し読み進めることができた。
記憶が虚ろなところもあるので、時々後戻りしながら。
読み返してよかったのは、前回は読み飛ばしたと思えるこの部分を再確認できたことだ。
彼の才能は蝶の羽根の鱗粉が綾なす模様のように自然だった。ある時期まで、 彼は蝶と同じようにそのことを理解しておらず、模様が払い落とされたり、損なわれたりしても、気づかなかった。のちに彼は傷ついた羽根とその構造を意識し、 深く考えるようになったが、もはや飛翔への愛が失われていたが故に、飛ぶことはできなかった。残されたのは、いともたやすく飛ぶことができた頃の思い出だけだった。(新潮文庫P205 高見浩訳)
これはヘミングウェイがフィッツジェラルドについて述べた章の書き出しの部分だ。
だが、この章の「彼」に似た人は、この世の中に、時折現れる。あたら、その才能を浪費してしまったか、もしくはその才能ゆえに自滅せざるを得なかった人たちだ。
その複雑な因果関係や心理に、今敢えて踏み込んで考えるほどの気力がわたしにはないけれど、「いともたやすく飛ぶことができた頃の思い出」という部分だけをとるならば、それは、才能の多寡に限らず、あらゆる人に、なにかしら心当たりのある、そこはかとない疼きのような感覚をもたらしはしまいか。
飛ぶことができなくなってしまった蝶に、お決まりの末路ではなく、なにかもっと心あたたかで静かな日々を用意してあげることはできないものだろうか。最近のわたしはそんな風に思えてならない。是非はわからないけれど。
笑いあいたい。哀しい心のひとたちとも。
さてさて、今夜も冷えますね。
靴下もういちまい穿いちゃうもんね。
・昼に「サッポロ一番みそラーメン」を作って食べた。野菜もたっぷり摂ろうと思い、
白菜だの人参だの冷蔵庫のなかの野菜をまるで煮込みのようにいれて食べたのに、
食べ終わったあとで、「最近、野菜を摂ってないなぁ」とつぶやきながら野菜ジュースを
飲んでいた。これは一種のボケだろうか。
by kokoro-usasan
| 2009-11-30 22:55
| 本
|
Comments(2)
Commented
by
めざぽん
at 2009-12-01 00:07
x
「on y va!」はフランス語?
パリで、バスが出発するときに添乗員さんが運転手さんにいつも「おにばぁ!」みたいな呪文をかけていたのを思い出しました。
「『鬼婆ぁ!』って言ってると言われちゃったことがあるんですよ(笑)」と、元スチュワーデスの添乗員さんが言ってました。
パリで、バスが出発するときに添乗員さんが運転手さんにいつも「おにばぁ!」みたいな呪文をかけていたのを思い出しました。
「『鬼婆ぁ!』って言ってると言われちゃったことがあるんですよ(笑)」と、元スチュワーデスの添乗員さんが言ってました。
0
Commented
by
koko-usa
at 2009-12-01 00:37
x
おや、また、なじみのお客さんがお越しですね。
めざぽん、こんばんは。
そう、「古い日記」(?)のほうの最後がそれでしたね。
on y va!
vaはaller(行く)という動詞の変化したもので、「さぁ、行こう!」
って感じ。でもって、まさに発音は「鬼婆(おにば)!」です。笑。
下のポストにもコメントをいただいてましたが、本をシェアするって
いいですよね。スタバで今、「book for two」っていう取り組みを
してますね。読み終わった本をスタバに寄贈すると、その本を売って
得た収益で、目の不自由な人たちの為のオーディオブックを買うという
趣旨のようです。クリスマスまで受け付けているみたいなので、もし
機会があったら、持っていってみようかのぅって思っとります。
「ザンネンですが、あなたのお持ちになった本は低俗すぎてだめです」
なんて言われたら、ハズカチィんですけど、だいじょうぶだろか。
めざぽん、こんばんは。
そう、「古い日記」(?)のほうの最後がそれでしたね。
on y va!
vaはaller(行く)という動詞の変化したもので、「さぁ、行こう!」
って感じ。でもって、まさに発音は「鬼婆(おにば)!」です。笑。
下のポストにもコメントをいただいてましたが、本をシェアするって
いいですよね。スタバで今、「book for two」っていう取り組みを
してますね。読み終わった本をスタバに寄贈すると、その本を売って
得た収益で、目の不自由な人たちの為のオーディオブックを買うという
趣旨のようです。クリスマスまで受け付けているみたいなので、もし
機会があったら、持っていってみようかのぅって思っとります。
「ザンネンですが、あなたのお持ちになった本は低俗すぎてだめです」
なんて言われたら、ハズカチィんですけど、だいじょうぶだろか。
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
最新の記事
雨続き⑵ |
at 2024-03-26 20:19 |
雨続き |
at 2024-03-26 10:33 |
沈丁花 曇天 |
at 2024-03-24 11:59 |
ふき |
at 2024-03-12 11:44 |
与一 |
at 2024-03-11 12:12 |
竹取物語 |
at 2024-03-04 13:15 |
意地悪はしないにかぎる |
at 2024-03-01 11:29 |
言い訳が多いのは、無いも同じと。 |
at 2024-02-26 12:40 |
遠くまで見晴らせるキッチン |
at 2024-02-24 18:40 |
フジヤ君の弟 |
at 2024-02-23 21:39 |
以前の記事
2024年 03月2024年 02月
2024年 01月
more...
カテゴリ
全体日々
つぶやき
ことば
音楽
映画
本
演劇
旅
トピックス
スナップ
すてき
あやしい特派員
さまよえる消費者
すきなもの
あじわい~
気になるこの子
展覧会
庭の楽しみ
手をうごかしてみる
追想
ごあいさつ
きょうの新聞から
幕間
一枚の写真
ダンス
※
夢
未分類