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続・年末年始恐怖症

e0182926_21341729.jpg年末になったせいなのか、昨年の記事「年末年始恐怖症」をクリックして読んでくださってる方がなぜか増えている。それを知って逆に、そうだよ、わたしは年末年始恐怖症なんだよ、と思い出し(笑)、健気にも、ボクシングで言うところのファイティング・ポーズを取って迎え撃とうとしているわけなのだった。シュッシュッ、シュシュシュシュ。しかし、今のところ、年賀状書きに追われて、恐怖症よりも、肩の凝りに負けている。

前回の年末年始週間は、木皿泉脚本のドラマ「富士ファミリー」が面白せつなくて、いつもの木皿流「生きてよし!」に勇気付けられたものだった。お正月は、「ファミリー」の絆がクローズアップされる時期だから、そういうのがほどけちゃった感じのひとたちは、結構暇なんだよね。だから、思い切って、「赤の他人だけどお正月だけ突然濃厚ファミリー」みたいな催しというか、コミュニティがあったら、それはそれで笑えて面白いかも。(思いつきだけは、泡のように浮かぶんだけど、それを実現させる持続性がないのが難点)

嬉しいことに、さっきテレビを見ていたら、今度のお正月も木皿さんの「富士ファミリー」続編が放映されるみたいだ。そういえば来年の話をすると鬼が笑うっていうけど、なんで鬼は笑うんだろうか。考えてみれば、すこぶる良いことではないか。鬼の笑顔、しみじみかわいいよ、きっと。
(「富士ファミリー」http://www.nhk.or.jp/dsp/fujifamily/)

冒頭の写真は、わたしが住んでる町の隣駅の今日の様子です。のどかでしょう? 好きだなぁ、こういうの。昔は、この駅みたいに、駅前の道路から、たったったったと走ってきて、改札をダッシュで抜けると、そのまま列車に飛び乗れる駅が多かったけど、最近はおしゃれに整備されて、階段を上ったり降りたりしなければならず、運動不足がたたると、ホームにたどり着くまでに精魂尽きていたりする。(大げさ? 大江戸線あたりなら大げさともいえないよなぁ。)

ところで、このあいだ、再放送リクエストを熱烈にしていた甲斐信枝さんの特集番組の再放送、ありましたね。偶然見ることができてラッキーでした。うん、いまのところ、年末年始恐怖症の兆しは出ていないな。しめしめ。(あと二日くらいしたら、語調がかわってくるかもしれませんが、ま、そのさいはあしからず)




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by kokoro-usasan | 2016-12-29 22:18 | つぶやき

舞台照明

e0182926_10311433.jpgこういう夕暮れの雲を見かけると、どこからどういうふうにライティングするとこんなふうになるのかなぁなんて舞台照明係みたいな気持ちになるのだった。

用事があって人混みのなかに出掛けていったら、警察官が台の上に立って防犯体制を取っていた。それはいいのだけれど、デパートのロビーを巡回していたマネージャーのような職員のかたが、わたしに、ちょっと鋭い視線を投げかけたのを、わたしも見逃してはいないわけで、「え、なに?」とこちらも不審に思ったけど、自分のその日の格好を考えれば、やむを得ない気もした。きらびやかなクリスマス前の広場を、大きなリュックを背負い、モンペ風のズボンを履いて横切った。農家のおばさんというよりは、雰囲気はちょっと過激思想でも持っていそうな感じだったかしら。でも、ほら、一応、おたくのお店で買ったおせんべいだとか、カステラとかがいっぱい入った紙袋も持っているじゃありませんか。そういう意味で、まだ日本は平和なのだなと思う。幼い少女に、自爆テロをさせるような集団がどうして生まれてしまったのか、よく知るべきなのか、知らないでいられるなら知らずにいたほうがいいのか、みな、生ぬるく、悪寒を無意識に拭いながら生きている。

ついでに書くと(前にも書いたけれど)、かつて、所用があり、スーツ姿で原宿の裏道を歩いていたとき、痩せておどおどした感じではあるが、身なりも悪くなく、言葉遣いも普通の女性から、声をかけられた。それは、呼ばれるというよりは、縋り付かれる、という感じに近く、「おねがいします」とささやくように頼み込んでくるのだった。「あなた、ですよね?ね?」と言う。わたしが、なんだかわからないまま、人違いではと通り過ぎようとすると、さらにあとを追って、「おねがいします、売ってください」と言った。「なにをですか?」とはもう聞かなかった。聞かないことにした。「人違いだと思います」とだけ言って、掴まれていた腕から、彼女の手をそっと離した。しばらく、歩いてから、自分のあらたまった服装をもう一度自分で確かめながら、世界は怖いものだなと思った。こんな隙のない格好で、あの切羽詰まった女性と裏道で何かの受け渡しをするひとがいるのだ、と。


フランダースの犬、マッチ売りの少女、馬小屋の赤ん坊。灯し火のありかを想う。

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by kokoro-usasan | 2016-12-24 11:10 | つぶやき

プリズム

e0182926_1192746.jpg
時々読ませていただいている某ブログにこんな言葉があった。

窓にプリズム(サンキャッチャー)をたくさん吊るす、というのは、
小学生のころ『少女パレアナ』を読んで、ずっとやってみたかったこと。
大人になってから思う存分やっている。
だってそのために大人になったんだもの。



なんのために大人になったのか、いくつかは覚えているのに忘れたふりをし、いくつかは覚えていたかったのに忘れてしまったのかもしれない。

むしろ、「大人になったのだから、やらなければいけないこと」が牡丹雪のように降ってきた。わたしは、「小さな兵隊さん」のような気持ちになって、「大人になったのだから、やらなければいけないこと」を背中のカゴに受け止め、幾分調子を乱しながら行進してきた。見渡せば、それは意外に当たり前の光景で、小さな兵隊さんたちの行進は、とりあえず、思い思いの方向で、すみやかにとりおこなわれているようなのだった。だが、兵隊さんたちに共通しているように思われるのは、みな、目を閉じて進軍していることなのかもしれなかった。きっと目など開けないほうがいいと思わせられているのだ。

時折、プリズムの虹が地面にかかる様子をしゃがみこんでずっと眺めているひとに出会う。兵隊さんは、ふと、目を開けて、「あ、いいな」と思うけれど、自分がなんのために大人になったのか思い出せなくなってしまっているので、理由の分からない涙をぽろんと一粒こぼすと、また、目を閉じて、とても真面目に行進を続けるのだった。

そして、そんな兵隊さんたちは時々、目を開けているのにプリズムの虹など「屁とも思わない」ひとたちの掛け声によって、目を閉じたまま、どこかへ連れてゆかれ、もう二度と戻ってこなくなるのだった。





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by kokoro-usasan | 2016-12-21 11:37 | ことば

僕が倒れたなら

わざわざこのタイミングでどうなのかと思いもするけれど・・・。

仕事でAAやダルクのかたに接することも多い。何年も前、普通に穏やかに挨拶しただけだったのに、笑顔が嬉しいと泣き出してしまったAAのかたがいた。ありがとう、ありがとうと、何度もおっしゃった。後日、同じAAに属するかたから、「彼は脱退した」と伝えられた。クリスマスも近くなって、離れて暮らしている家族とやり直したいと、思い切って訪ねていった際、もはやそれは無理なのだと思い知らされる出来事があったらしい。そこで、ずっと断っていたアルコールにまた手を出してしまい、そのまま入水したのだという。幸い命は助かった。「弱かったのよ、まだ」

ほとんど問わず語りにそう教えてくれたひとに、わたしは、饒舌すぎるようないたたまれなさを感じ、かすかな憎しみのようなものさえ覚えたけれど、何年もたって、あらためて、ここでそのことを話そうとする自分にも、そのひとに似た軽薄さがあるだろうか。

いや、上の話は、後付けだ。

今朝、なんとはなしに聴いたこの歌の歌詞に触れ、わたしはただ、次々と現れては、倒れ、現れては、倒れ、手渡されてゆく人間のバトンとはどのようなものなのか、考えていたのだ。

「僕が倒れたら」・・・と。

わたしは、なにを託して、倒れてゆこうか、と。







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by kokoro-usasan | 2016-12-20 10:11 | 幕間

L' amour fou

今日、自分への誕生日プレゼントで観に行った映画(ウニー・ルコント監督「めぐりあう日」)のラストシーンで、アンドレ・ブルトンの詩(「狂気の愛」)の終章の一節が静かに朗読された。それは唐突ではあったのだけれど、この一節によって、探していた最後のピースが揃ったような、そんな安らいだ気持ちになって、映画館をあとにすることができた。


美しい春 君は16歳
この本を開くだろう
さんざしを揺らす風がその題名をささやく

いつも笑っている8ヶ月の愛しい娘
君は珊瑚 君は真珠
君の誕生に何一つ偶然はない

生まれるべき時に誕生したのだ
早くも遅くもない
君のゆりかごの上に暗い影はない

子供を生むのは狂気だと思い込み
私を生んだ人々を恨みに思っていた

16歳の君を見つめる
まだ恨みを知らない娘
僕は君の目を通して自分を見つめる

夢と希望と幻想が君の頭の中で踊る
巻き毛の輝きをあびて

その場に僕はいない
ずっと君を見ていたいのに

運命の分け前が十分かどうか分からないが
生きる喜びを謳歌せよ愛を待ちながら




この最後の一行、日本語字幕は古田由紀子さんとなっている。実際には、「あなたが狂おしいほどに愛されることをわたしは願っている」なのだが、古田さんの牧歌的な意訳もわたしは好きだ。もう会うことのない幼い娘に、父親が書き残した手紙の結びの言葉として、きっと、日本人には、このほうが受け入れやすいと考えられたのではないかと思う。

運命の分け前が十分かどうかは分からないし、もう16歳はとうの昔にすぎてしまったけれど、そう、わたしも、そのように生きてみようと思う。





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by kokoro-usasan | 2016-12-15 20:55 | ことば

つれづれ

a)
いくつかの深い言葉を反芻しながら、穏やかな陽の差し込む部屋のなかに居る。心の底で、なにかが静かに耳を澄ましている気配がする。あと幾ばくかの強さ。いや、もしかしたら、むしろ、あと幾ばくかの「緩さ」が必要なのかもしれない。合理性ではもはや人類は立ち行かないとアレクシェービチが語る言葉に胸を掴まれる気がし、また物思いに耽る。(12・7)

b)
先日、辺見(庸)さんのお話を伺いに行った際、10数年ぶりに徐京植さんをお見かけして、うっかり知己のようにご挨拶してしまいそうになったが、徐さんからすれば、一昔も前に、ある勉強会の、ひとつ前の席に腰掛けていた女性のことなど覚えているべくもないだろうから、はっと思いとどまり軽く会釈して通り過ぎた。徐さんにお会いしたのは2005年7月のことで、八王子のセミナーハウスで開講された「文化と抵抗」というセミナーの会場でだった。徐京植、菊池恵介、高政和、三宅晶子、中西新太郎、高橋哲哉(敬称略)といった面々が代わりばんこに講師となり、二日間にわたって講義が行われた。なにか、鮮やかに心を揺さぶり、胸を打つ講義が続き、へとへとになって帰宅したけれど、その前と、後では、わたしはそれまでと違うずいぶん自由な視座を得ていた。それでも、その視座というものは、不断の努力がなければ、あっという間にふやけ、見えていた地平も霞んでゆく。どのように、自分を律すればいいのか。簡単に、やわやわになる自分を自覚している。

c)
友人との会話のなかで、「水」という言葉が出たため、帰宅してから、「水かぁ」と、タルコフスキーの映像のようなものが頭に浮かんできたのだが、一方で、「水道水」のことを考えた。かつて沖縄に行ったとき、地元の青年たちが、軍に回す水が優先だから、自分たちはなるべく節水を心がけないと水不足になってしまうと語っていたのが忘れられなかった。2008年の防衛省の資料によると、沖縄米軍が使用する水道量は、料金にして年間37億円弱、1日あたり1011万円とのことで(ちなみに電気代は年間118億円、1日あたり3232万円 おそらく現在はもっと高くなっていることだろう)、これを「思いやり予算」として日本が負担している。貧乏人には、その額が適正なのかどうかよくわからないが、いつか、何かと比較できるかもしれないので、ちょっとここにメモしておこうと思う。

 
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by kokoro-usasan | 2016-12-10 11:45 | 日々

余白

e0182926_117587.jpg今年の日記帳も、余白が目立つ。

それでも、例えば、帰宅して、玄関の扉の外で、一旦そっと涙をぬぐってから、「ただいまー」と入ってゆくような、そんなことは、ほとんどなかったような気がして、とても、ありがたく思う。

しのごの言わずに頑張る。そういう年でもあった。家庭的、経済的な不如意も、パーソナルなものとして、そのまま受け止めることにしたし、先日、アレクシエービチの著書の扉の言葉として紹介したルセのことば、「犠牲者と迫害者は同じように不快である」という、ある種ひとのこころを逆撫でするような一文にも、奇妙に感銘を受け、迫害者にも犠牲者にもならずに生きるとはどういうことだろうと、これまでの思考の円のそとに出ていくような問いを持った。

けれど、考えれば考えるほど、それは、表現しやすい「強さ」とは別物であるように感じる。

強いものを表現することと、表現されたものが強さを持つ、ということがまったく別種の領域にあることを思わずにいられない。

わたしの日記は、今年もますます余白ばかりで、来年も心もとないけれど、この余白に失望はない。





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by kokoro-usasan | 2016-12-04 13:28 | つぶやき


閉じられていないもの


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