カテゴリ:手をうごかしてみる( 2 )

ぶきっちょの秋

e0182926_1113278.jpgきょうは午後から仕事。今、松茸御飯を炊いてます。空はまだ青いけれど、東京は夕方から夜半にかけて台風圏に入るとのこと。困ったなぁ、ちょうど夜半に帰宅なんです。いっそ、暴風に飛ばされて、いっきに家まで着いちゃうといいけどな。

職場で秋に開かれる文化祭に、責任者なんだから、ひとつくらい何か出品しなさい、とKちゃんが言う。KちゃんもFちゃんも、すばらしく器用なひとたちで、毎年、売れるんじゃないかというくらい完璧な作品を出品するのだ。「無理。わたしが不器用なのは知ってるでしょ」と返事をすると。「それはそうだけど、でもさ」と言う。過去4回の文化祭、わたしはずっと傍観者。でも、もしかしたら、この職場も来春には異動になってしまうかもしれないとふと思う。優しい人たちに囲まれてとても幸せな職場だったと思う。

Kちゃんがさらに言う。「ほら、ずいぶん前に、気まぐれに作って見せてくれた、あのへんな小鳥一個でもいいじゃない、あれ、出しなよ。あれ、結構かわいいよ。あれにしな。出すことに意義がある!」「あれ一個だけってありえないでしょう。笑。じゃ、あれをたくさん作る?」「えー。あれを?あんなのそんなに作ってもナー。」歯に衣着せぬ有り難いお言葉。

「裸婦デッサン、出したら」「だって、老若男女、みなさんお越しになるんだから、ちょっと、だめでしょう?前に、美術館でバイトしてたとき、孫を連れたおじいちゃんが、シャガールの裸婦の絵を見て、孫と来たのに、こんな絵を展示されてはこまる!って怒ってたことあったもん。笑」

そんなわけで、ゆうべ、その「気まぐれにつくったへんな小鳥」(写真)ちゃんを、押し入れから出してきて、それは、ニードルフェルトという手芸で、羊毛を、針で刺しながら形を作ってゆくものなのだけど、こんなの、やっぱり、だめだよねぇ、でも何か出してみようかなぁと、またしても「気まぐれ」に作ってたのが、写真のコースター(試作品)です。本当は、水に浸して、しっかりとしたぺったんこのフェルトにするのが正式なものみたいなのですけど、わたしはアバウトな人間なので、ただ刺して成形しただけの もこもことして端っこもきちっと裁断されてない味わいが好き。まぁ、出品はしないかもしれないけれど、お世話になってる職場のみなさんがお茶の時間に敷いてもらえるように、コースター、作ってみようかなって思った今朝でした。

ぶっきっちょの秋です。あぁ、松茸御飯のいい匂い。
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by kokoro-usasan | 2012-09-30 11:45 | 手をうごかしてみる | Comments(1)

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e0182926_1017717.jpg曇り空。
昨夜はさびしさが極まって、ひとりで夕飯を食べに出かけた。さびしさが極まったのに「ひとりで」というのも変な話かもしれないけれど、認知症の母と向き合ってひっそりと自宅で食事をとる生活に、言いようのない閉塞感を覚えたのだ。独りで食事をとるのはなんら苦にならない人間なのだが、向き合った人間との気詰まりな食卓のほうが時に耐え難い。何か話し掛けても、聞いているようで通じていない。

姥捨てでもするような気持ちで夕方家を出た。母の食事は用意してあるので自分で食べてくれるだろう。ちょっとおしゃれで居心地のよさそうな店に入り、「オムライス」を頼んだ。自分が作ったのではない、誰かに作ってもらったオムライスが食べたいと思った。わたしは、今夜、「給仕される」側の人間なのだから。椅子にどっぷりと腰かけて、おいしいメニューが並ぶのを待っていればいいのだ。

友人に電話をかけた。「あれ、なんだか賑やかなところからだね」と友人は意外そうに訊ねた。「そうでしょう。今夜はこれからオムライスを食べるんだよ」「オムライスか、それはいいな」「そうだよ、いいでしょう」「お母さんは?」「お母さん?あぁ、お母さんは家ですよ。家でひとりで食べればいいじゃないですか、呆けてるんですから。でも食べるのはちゃんと食べるんです、あのひと」「ねぇ、あなた、ちょっと酔ってない?」「酔ってませんよぅ。遠慮がないって言ってください。遠慮がなくなってるんですね、たぶん、今夜は」

わたしは確かに酔ってはいなかったのだが、出掛けにちょっと薬を飲んでいたのである。昔、母が常用していたらしいデパスが、わたしの引き出しにたくさん仕舞われていて、わたしは、向精神薬というものをあまり好ましく思っていない人間なので、母が呆けてしまったのを機に、封印していた。それをちょっと拝借したのである。デパスを飲んだあと母が妙にゴキゲンになっていたのを見たことがあるからだ。

友人は「足元、ふらついてるんじゃない?」と訊いた。「座ってるから、足元、ありません」「あなたさ、帰り、気をつけて帰るんだよ。歩道を歩くんだよ」「はい」「それから、薬はだめだよ」「はい」あぁ、そうか、こういうとき、人はお酒を飲むのか、とちょっと思った。「ふぁい!かえりまぁぁす、ひっく」なんて言えちゃうのだなと。そういうふうにして、なにか、人生のタイムラグをこしらえているのだな、と。

帰りのバスの中で、妙にウタタネしてしまい、何度も、ここはどのへんかときょろきょろする羽目になったのは、おそらくデパスのせいで、次で降りるとチャイムも鳴らしたのに、眠りこけてあやうく、乗りこすところだった。帰宅すると、母は自室でテレビを見ていた。食べ終わった食器がお盆の上にのっていた。

眠かったのだが、Fちゃんの誕生日がもうすぐなのを思い出した。「プレゼント魔」の彼女からはしょっちゅう色々いただいてしまうので、なにかお返しをと思い、小物入れを用意していたのだけれど、そのままあげないで、何か手を加えてみようと思った。もともと、tetoteさんという手作りの小物を作ってらっしゃるかたから買ったものなのだが、それに、刺繍をつけてみることにした。Fちゃんの名前も小さく縫い付けた。自慢じゃないが、不器用なことにかけては右に出るものなし、というくらいのわたしが刺繍などしては、tetoteさんの作品に申し訳ないのだったけれど、まぁ、いいや。その不ぞろいなステッチをみるごとに「あのおそろしい不器用者」とFちゃんに思い出してもらえることだろう。

さぁ、仕事。きょうから、3月。
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by kokoro-usasan | 2011-03-01 11:04 | 手をうごかしてみる | Comments(2)


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