不在に寄す
同僚が貸してくれたワイエスの画集を今日返そうと思い、凍てついた朝の部屋でもう一度眺め直していた。カーテン越しに窓からの光が差し込み、画集に影を落としている。それも含めて、ワイエスの光だな、と思い写真に収めた。
この絵のタイトルは「アルヴァロとクリスティーナ」(1968 水彩)という。ワイエスの作品は、冬を感じさせるものが多く、この作品もそんな感じがするのだが、実は夏の作品らしい。すでに彼は1952年にも、この印象的な青い扉を題材に、タイトルもそのまま「青い扉」という作品を描いており、右側の高い窓から入る光線と室内の様子が、彼にとって、とても印象深いものだったことがうかがえる。
この場所は、クリスティーナとアルヴァロのオルソン姉弟が住む家であり、ワイエスはクリスティーナをモデルとしてよく作品を描いていた。しかし左の作品を描いた1968年、この姉弟はすでに他界しており、つまり、彼は、住人のいない家で、これを描き、姉弟の名をタイトルにしたことになる。後年、彼は語る。「彼らは死んでしまったが、それでもなお、力強くそこにいたのである」
まさしく。
不在とは、そういうものであるに違いない。不在をあなどることはできない。不在の豊かさが胸にしみる。
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この絵のタイトルは「アルヴァロとクリスティーナ」(1968 水彩)という。ワイエスの作品は、冬を感じさせるものが多く、この作品もそんな感じがするのだが、実は夏の作品らしい。すでに彼は1952年にも、この印象的な青い扉を題材に、タイトルもそのまま「青い扉」という作品を描いており、右側の高い窓から入る光線と室内の様子が、彼にとって、とても印象深いものだったことがうかがえる。
この場所は、クリスティーナとアルヴァロのオルソン姉弟が住む家であり、ワイエスはクリスティーナをモデルとしてよく作品を描いていた。しかし左の作品を描いた1968年、この姉弟はすでに他界しており、つまり、彼は、住人のいない家で、これを描き、姉弟の名をタイトルにしたことになる。後年、彼は語る。「彼らは死んでしまったが、それでもなお、力強くそこにいたのである」
まさしく。
不在とは、そういうものであるに違いない。不在をあなどることはできない。不在の豊かさが胸にしみる。
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by kokoro-usasan
| 2017-12-09 12:15
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by kokoro-usasan
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