古本市
パリを歩き回った日から、もう15年も経つのだから、人生は本当にあっという間の出来事なのかもしれない。
勤め先で毎年秋に開かれるお祭りが終わった。昨年、古本市を同時開催したところ、大変好評だったので(なにしろ、代金は「お気持ちで」という古本市なので、子供たちも、10円で選び放題なのだ)、今年はさらにコーナーを増やして、お客様を呼び込んだ。台風まじりのあいにくのお天気にも関わらず、たくさんのかたにお越しいただき、ほんわかとしつつ撤収作業を終えた。
かねてから、職場で一箱古本市をやってみたいと思っていたのだが、思うばかりで着手できずにいたら、施設内の図書室の係りのかたたちが、廃棄処分の本が勿体無いということで、昨年から急に古本市が始まった。わたしが思い描いていた古本市とはちょっと違うけれど、値付けもなにもなく、ものすごくアバウトにやっているのが、それはそれで、なんとなくいじらしいというか、素人くさくてどこか懐かしい気持ちになった。ペットボトルに少し着色しただけの「貯金箱」が各所に置かれていて、お客さんはそこに自分の「お気持ち」を投入している。言ってはなんだけど、みなさん、「お気持ち」がかなり、ささやか、だ。(苦笑)無着成恭の本に、500円を投入したわたしは、係りの人たちに、神様のように崇め奉られた。いやいや。
実は、職場の同僚が、この古本市に何冊か自分の本を提供していて、自分が提供した本の売れ行きが気になるらしく、お祭り会場の別の場所で、それとなく、「いま、古本市で、すごい掘り出し物があったよー」と自分の本を宣伝して、まんまと売り切ったらしい。わたしも提供したく思っていたのに、他の仕事にかまけているうちに、出しそびれてしまった。そうか、自分が出した本が売れたかどうか、そわそわと、なんども確認しにいったりして、その時間は、なかなか楽しいのかもしれないな。売れ残ったら寂しいけど。
お祭りの最終日、古本市はどうなったかなと見にいった。大分、減っていた。ご近所に住む高齢のかたたちが、幾分、身辺整理のように供出してくださった本が多く、眺めていると、ちょっとしんみりする。ふと目をやった段ボール箱の文庫本のなかに、新潮社の「現代名詩選(中)」があるのを知って胸が高鳴った。わたしは、その文庫本で「詩」に出会ったのだ。中学生のとき、駅前にあった個人経営の小さな書店で見つけた。
室生犀星、萩原朔太郎、日夏耿之介、佐藤春夫、堀口大學、西條八十、佐藤惣之助、村山槐多、中川一政、高橋元吉、宮沢賢治、尾崎喜八、金子光晴、吉田一穂、八木重吉、高橋新吉、萩原恭次郎、壺井繁治、岡本潤、小野十三郎、中野重治、小熊秀雄、草野心平、山之口貘、尾形亀之助
再会が懐かしくて、ラインナップを全部書き出してしまったけれど、これらの詩人の詩を、何度も何度も読み返したものだ。(残念ながら、わたしは暗誦というのができなくて、さっと、口をついて出てこないのが、いつも悲しいのだけれど。友人で、すらすらと出てくる輩がいて、すごーく悔しい。)
どなたかわからないけれど、この本を供出してくださった方に感謝。自分のものが行方不明になってしまっていたので、今度は大切にしようと思う。ページをめくると、当時の感受性が戻ってくるようで、(戻ってはこないけど・・・)、どきどきする。嬉しい。
^
勤め先で毎年秋に開かれるお祭りが終わった。昨年、古本市を同時開催したところ、大変好評だったので(なにしろ、代金は「お気持ちで」という古本市なので、子供たちも、10円で選び放題なのだ)、今年はさらにコーナーを増やして、お客様を呼び込んだ。台風まじりのあいにくのお天気にも関わらず、たくさんのかたにお越しいただき、ほんわかとしつつ撤収作業を終えた。
かねてから、職場で一箱古本市をやってみたいと思っていたのだが、思うばかりで着手できずにいたら、施設内の図書室の係りのかたたちが、廃棄処分の本が勿体無いということで、昨年から急に古本市が始まった。わたしが思い描いていた古本市とはちょっと違うけれど、値付けもなにもなく、ものすごくアバウトにやっているのが、それはそれで、なんとなくいじらしいというか、素人くさくてどこか懐かしい気持ちになった。ペットボトルに少し着色しただけの「貯金箱」が各所に置かれていて、お客さんはそこに自分の「お気持ち」を投入している。言ってはなんだけど、みなさん、「お気持ち」がかなり、ささやか、だ。(苦笑)無着成恭の本に、500円を投入したわたしは、係りの人たちに、神様のように崇め奉られた。いやいや。
実は、職場の同僚が、この古本市に何冊か自分の本を提供していて、自分が提供した本の売れ行きが気になるらしく、お祭り会場の別の場所で、それとなく、「いま、古本市で、すごい掘り出し物があったよー」と自分の本を宣伝して、まんまと売り切ったらしい。わたしも提供したく思っていたのに、他の仕事にかまけているうちに、出しそびれてしまった。そうか、自分が出した本が売れたかどうか、そわそわと、なんども確認しにいったりして、その時間は、なかなか楽しいのかもしれないな。売れ残ったら寂しいけど。
お祭りの最終日、古本市はどうなったかなと見にいった。大分、減っていた。ご近所に住む高齢のかたたちが、幾分、身辺整理のように供出してくださった本が多く、眺めていると、ちょっとしんみりする。ふと目をやった段ボール箱の文庫本のなかに、新潮社の「現代名詩選(中)」があるのを知って胸が高鳴った。わたしは、その文庫本で「詩」に出会ったのだ。中学生のとき、駅前にあった個人経営の小さな書店で見つけた。
室生犀星、萩原朔太郎、日夏耿之介、佐藤春夫、堀口大學、西條八十、佐藤惣之助、村山槐多、中川一政、高橋元吉、宮沢賢治、尾崎喜八、金子光晴、吉田一穂、八木重吉、高橋新吉、萩原恭次郎、壺井繁治、岡本潤、小野十三郎、中野重治、小熊秀雄、草野心平、山之口貘、尾形亀之助
再会が懐かしくて、ラインナップを全部書き出してしまったけれど、これらの詩人の詩を、何度も何度も読み返したものだ。(残念ながら、わたしは暗誦というのができなくて、さっと、口をついて出てこないのが、いつも悲しいのだけれど。友人で、すらすらと出てくる輩がいて、すごーく悔しい。)
どなたかわからないけれど、この本を供出してくださった方に感謝。自分のものが行方不明になってしまっていたので、今度は大切にしようと思う。ページをめくると、当時の感受性が戻ってくるようで、(戻ってはこないけど・・・)、どきどきする。嬉しい。
^
by kokoro-usasan
| 2017-10-24 20:47
| 日々
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
最新の記事
雨続き⑵ |
at 2024-03-26 20:19 |
雨続き |
at 2024-03-26 10:33 |
沈丁花 曇天 |
at 2024-03-24 11:59 |
ふき |
at 2024-03-12 11:44 |
与一 |
at 2024-03-11 12:12 |
竹取物語 |
at 2024-03-04 13:15 |
意地悪はしないにかぎる |
at 2024-03-01 11:29 |
言い訳が多いのは、無いも同じと。 |
at 2024-02-26 12:40 |
遠くまで見晴らせるキッチン |
at 2024-02-24 18:40 |
フジヤ君の弟 |
at 2024-02-23 21:39 |
以前の記事
2024年 03月2024年 02月
2024年 01月
more...
カテゴリ
全体日々
つぶやき
ことば
音楽
映画
本
演劇
旅
トピックス
スナップ
すてき
あやしい特派員
さまよえる消費者
すきなもの
あじわい~
気になるこの子
展覧会
庭の楽しみ
手をうごかしてみる
追想
ごあいさつ
きょうの新聞から
幕間
一枚の写真
ダンス
※
夢
未分類