なんでもない休日。

朝。よく晴れていたので、洗濯をしてから、近所の歯医者に行き、その足で買い物に行った。買い物のついでに書店にも足を伸ばしているうちに、午後になり、昼食用のサンドイッチと、フリージアの花も調達して帰ってくると、急に春の嵐となり、ベランダの洗濯物が下に落ちてしまっていた。やれやれと拾い上げ、さっさっと埃を払いながら、仕舞う。生暖かい強風のせいで、庭の鉢植えの花が、乾燥してうなだれはじめていたので、ジョウロで水をたっぷりかける。居間に戻って、サンドイッチを頬張って、一度見たことがある推理もののテレビドラマを眺め、なんとなく、あらすじを思い出してきたところで、テレビを消す。カップのなかに残っている珈琲を飲み干して、自分の部屋に戻り、椅子に座る。なんだか、ぞわぞわと寒気がする。風邪?上着をもう一枚羽織ったら、寒気は消えた。肩が凝っているのは、歯医者で緊張していたせいかもしれない。急に、窓の外で雨音。シャワーのような雨音。このところ、こんな雨の音、しばらく聞いていなかったなと思う。なんだ、雨が降るのなら、花に水をあげなくてもよかったなと思う。

と、書いていたら、もう雨は止んでしまい、ヒヨドリが隣家の柿の木の上で、鳴いている。そういえば、朝は、その同じ場所に、山鳩がとまっていた。結構、長い時間とまっていたので、洗濯物を干しながら、話しかけてみたりしたけれど、首をちょっと動かすくらいで、ひっそりとしていた。まだ、体が幼い。

すこし前の新聞に、職員のかたの知らないうちに養護施設を抜け出してしまった少年が、行方不明となり、その2ヶ月後に、付近の山中で遺体で発見された案件について書かれた記事が載っていた。この少年は、わたしの職場にも「捜しています」というチラシが配られ、みんなで心配していた少年だった。まさか亡くなって発見されたとは知らず、その記事で初めて知ったのだ。記事は、亡くなったことを報じたものではなく、施設が遺族側に支払う賠償金をめぐり訴訟になっているというものだった。争点は、賠償額そのものというより、提示された賠償額の、その内訳のなかで、亡くなった少年の「生涯賃金予測」が「0円」で算出されていたことへの抗議だった。もし、生きていたら、その少年が、生涯にどれくらいの収入を得ていたかということが、賠償額を決定する際の重要なポイントになるが、遺族側は、その「0円」という算出に納得できなかったのだ。それにしても、どうしてまた「0円」などという算出をしたのだろう。似たような案件でも、それなりの人権に配慮した額が呈示されるものだ。「0円」という記載を見たときの親御さんの気持ちは冷水を浴びせられたようだったのではないだろうか。これは、大事な問題だと思う。

あ、また雨が激しく降り始めた。こうやって、すこしずつ、暖かくなってゆくのだろう。母がデイサービスから戻ってきた。つい先日は、回覧板を、下駄箱のなかに仕舞ってくれていた。あたまのなか、どうなっているのかなぁと思うけれど、そのちんまりと丸く小さな身体が必死に生きているということが、わたしの暮らしにとって、なんらかの和らいだ灯りになっていることは、確かなのだった。





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by kokoro-usasan | 2017-02-20 17:30 | 日々


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