ひこうき

e0182926_1112155.jpgきのうは午後から粉雪が舞い、今朝も、庭にはうっすらと白いものが残っていたが、空は晴れて、洗濯も済ませた。

先日ここでご紹介した池間さんと不破さんのライブの別の映像で「ひこうき」という歌が歌われている。印象に残るとてもしみじみとした歌で、今朝の空を見ていたら、その歌が心に浮かんだ。曲はたしか不破さんが作られたのではないかと思うが、詩は石川啄木だ。




飛 行 機    
        石川啄木 
            
見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを。

給仕づとめの少年が
たまに非番の日曜日、
肺病やみの母親とたつた二人の家にゐて、
ひとりせつせとリイダアの獨學をする眼の疲れ……

見よ、今日も、かの蒼空に
飛行機の高く飛べるを。

1911.6.27.TOKYO.



今は個人がなんでもネットにアップできる時代だけれど、100年前は、「出版」というかたちを取らなければ、広くはだれにも読んではもらえず、自分の思いが、いつか誰かに届くことを切実に願いながら、叶えられずに一生を終えたかたがほとんどだったのではないだろうか。

見よ、今日も、かの蒼空に 飛行機の高く飛べるを

祈るように言葉を書き起こす孤独のようなものが、この短い詩のむこうに垣間見え、それゆえにこそ、給仕勤めの少年の、その非番の日の光景と、空を横切ってゆく飛行機の機影が、もはや忘れることができないほど、わたしの心の奥の奥に届き、100年を超えてなお切ない。




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by kokoro-usasan | 2017-02-10 11:17 | ことば


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