人形
知り合いのかたにお線香をお送りしようと思っていつも行くデパートに出かけたら、ギャラリーで中川ふさ子さんの人形展がちょうど始まったところだった。左の写真は一昨年の人形展のときにいただいた写真。中川さんのお人形は、貴重な古代裂を使われていて、お人形そのものの成型も、型ではなくきちんと一体一体、ご自分で作られているという。だから、本当に、一体一体が味わい深く、一言では言えない、しんみりとした思いを呼び起こす。どうして、「しんみり」するんだろう。敢えて言えば、自分が年月の中で失ってきてしまったものを、このお人形たちが静かに内に湛えていて、どうも、それにちょっぴり心が傷つくというか、傷つきながらも、畏れに似た気持ちで、その幼いかんばせを愛しく思い、長々と見とれるしかないのだった。あぁ、欲しいなぁと思う。思うけれど、わたしがこれを手元で愛でられる時間はそれほど長くはないだろうし、それをどなたかに差し上げる機会があるのかどうかも想像がつかない。それに、わたしには、父親が買ってくれた古い古い雛人形がある。そんなことを頭のなかでぐるぐる考えて、妙に気持ちが疲れてしまった。煩悩というやつだな。
今回の人形展には、雛人形だけではなく、中川さんの本業というか、ご自分の芸術表現としての人形作品もたくさん並んでいて、これは伝統的な雛人形とはまったく異なる独創的なお人形たちなのだが、これはこれで、趣深かった。多くがお年寄りをモデルにしたお人形たちなのだ。椅子にちょっと背をかがめて腰掛けたその風情が、それぞれなにか優しく語りかけてくる感じで、すてきだった。
人形を見つめ、人形に見つめられ、ほっと慰められる気持ちだったはずなのだけれど、家に帰ってきてから、そして、一晩寝て起きてみたら、わたしはなんだか寂しくて、ホームシックみたいな気持ちになっていた。
「ひと」に、友に、愛する人に、会いたくなっていたのだ。
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今回の人形展には、雛人形だけではなく、中川さんの本業というか、ご自分の芸術表現としての人形作品もたくさん並んでいて、これは伝統的な雛人形とはまったく異なる独創的なお人形たちなのだが、これはこれで、趣深かった。多くがお年寄りをモデルにしたお人形たちなのだ。椅子にちょっと背をかがめて腰掛けたその風情が、それぞれなにか優しく語りかけてくる感じで、すてきだった。
人形を見つめ、人形に見つめられ、ほっと慰められる気持ちだったはずなのだけれど、家に帰ってきてから、そして、一晩寝て起きてみたら、わたしはなんだか寂しくて、ホームシックみたいな気持ちになっていた。
「ひと」に、友に、愛する人に、会いたくなっていたのだ。
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by kokoro-usasan
| 2017-01-27 18:57
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