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新年にあたって。

新年にあたって。_e0182926_15533455.jpgいつもわたしの机の上でわたしを見ているフクロウの香炉。インドのオリッサ州で作られたものらしいが、わたしの前の持ち主がこれを入手したのはヒマラヤの麓のマナリという場所だったという。足の指が一本欠けているのだが、それでも、しっかりと立っている。今年は酉年ということなので、フクロウも鳥類だからいいかしらと、年賀状に登場してもらった。年賀状をお出しできない読者のかたもいらっしゃるので、ここでもお披露目します。

わたしは古いものが好きで、100年も生きることのない人間の寿命のなかで、身近な道具たちとはなるべく長く付き合って行きたいと思う人間だ。わたしの寿命よりも長く生きられそうなものは、誰かの手に渡ってさらに長い歴史を生きてほしいし、わたしと一緒に朽ちてしまって、とても使えそうにないものは、わたしと一緒にお別れしてもらえればいいと思う。たとえば、このフクロウなどは、わたしの寿命を超えて、もっともっと時空を生き延びていってほしいと願うもののひとつだ。むしろ、こういうものを、次の人に手渡すために、所有しているのではないかと思える。モノのほうが、わたしを選んでやってきたのではないかと。

このことは、モノとのつきあいだけではなく、人間そのものが、人間の文化を時空を超えて「運ぶ」担い手なのだという感覚を呼び起こす。わたしは今何を運んでいるといえるだろうか、そして、わたしは、それを運び切れるだろうか。

年末の日記にわたしが書きとめたことをここで大きく端折って記録してみようと思う。それは未来を指し示すような内容ではなかったが、未来に向かう心構えといってもいいかもしれない。
  前に進もうとするとき、「困難」が、その道標になる。
そう、わたしは記した。困難こそが、今自分がしがみついている場所から外へ出させ、出会うべき人に会わせる道筋をつけてくれる。目の前に困難が待ち受けていたら、あぁ、またひとつの道が開けようとしているのだと思えばいい。困難が自分に教えようとしていることの、その只中に出てゆけばいい。そこに、きっと、会いたい人がいる。会うべきひと、会わねばならないひとがいる。それがたとえ、自分が夢見たような形ではなかったとしても、非常に消耗する厳しい邂逅であったとしても、それは自分の裁量を超えた意味を必ず持っていることを信じていればいい。困難が囁く言葉によく耳を澄まし、一時の感情に流されることなく、重い扉を開いてゆきたい。






by kokoro-usasan | 2017-01-01 16:38 | ごあいさつ


閉じられていないもの


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