壁
曇った朝。
不思議と
無造作に壁に画鋲で貼り付けたチラシの類が何年もそのままになっていることがある。写真の日本民芸館のものは今年のものだけれど、古いのは2007年の佐藤忠良さんの展覧会のものもある。とはいえ、わたしの家は、途中の10数年を除いて、わたしが6歳のときから住んでいる建物なので、小学生のときに貼り付けてしまった「パーマン」のシールとか、もう少し大きくなってから、どこかで買ったのだろう南米のプリミティブな壁掛けだの、そのときの自分と、今の自分が、もはや、うまく繋がっていないように思える痕跡がたくさん残っていることになる。
考えてみると、わたしは、自分の人生を注意深くレイアウトする意思のほとんどない人間なのかもしれない。それは、意外な発見でもある。ただ、事実だけが、実際の軌跡だけが、それを、あっけらかんと証明してくれるものだから、そうだね、たしかにね、と、ちょっと苦い笑いがこみ上げてくるのだった。
目の前にあるものを、風にさらわれ、波に押し流され、夢など見ているひまもなくなにかとはぐれ、はぐれたままに、どこまでも行くのだけど、
なんだか、幼い手で貼られた「パーマン」のシールが愛しい。きっと、自分は、そこへ向かって歩いているのかもしれない。疲れと痛みを携えての帰郷だが、「パーマン」は、そのみやげを、きっと喜んでくれると思う。
不思議と
無造作に壁に画鋲で貼り付けたチラシの類が何年もそのままになっていることがある。写真の日本民芸館のものは今年のものだけれど、古いのは2007年の佐藤忠良さんの展覧会のものもある。とはいえ、わたしの家は、途中の10数年を除いて、わたしが6歳のときから住んでいる建物なので、小学生のときに貼り付けてしまった「パーマン」のシールとか、もう少し大きくなってから、どこかで買ったのだろう南米のプリミティブな壁掛けだの、そのときの自分と、今の自分が、もはや、うまく繋がっていないように思える痕跡がたくさん残っていることになる。
考えてみると、わたしは、自分の人生を注意深くレイアウトする意思のほとんどない人間なのかもしれない。それは、意外な発見でもある。ただ、事実だけが、実際の軌跡だけが、それを、あっけらかんと証明してくれるものだから、そうだね、たしかにね、と、ちょっと苦い笑いがこみ上げてくるのだった。
目の前にあるものを、風にさらわれ、波に押し流され、夢など見ているひまもなくなにかとはぐれ、はぐれたままに、どこまでも行くのだけど、
なんだか、幼い手で貼られた「パーマン」のシールが愛しい。きっと、自分は、そこへ向かって歩いているのかもしれない。疲れと痛みを携えての帰郷だが、「パーマン」は、そのみやげを、きっと喜んでくれると思う。
by kokoro-usasan
| 2015-12-03 07:49
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