原発事故の、そのあとで。

今日も、そっと、無断転載。
わたしは先日「希望の牧場」という絵本を読み、原発事故後も、避難指示に従わず牛を守り続けた方の話を知った。大変な決断だと思った。それ以外の方は、政府の指示に従って、自分の牛たちを置いて避難するしかなかったわけで、その無念さは、牛を飼い続けた方への非難に転じ、「なんで、おまえだけ残っているんだ」という叱責を受けたこともあったらしい。牛を置いて逃げたかたたちの辛い思いは、どんなものだったのだろう、と、そのとき思ったものだった。今日、すこし古いけれど、こんな記事を発見したので、紹介したい。

飼い主がいなくなった柵の中で、飢餓のため、牛舎の柱を齧ったと思われる写真に、読者であるわたしも胸しめつけられるのだ。飼い主だったかたの心はつぶれんばかりだったと思う。


e0182926_12441341.jpg東日本大震災:福島第1原発事故 南相馬避難区域再編3年 牛を置いて避難、小高の半杭一成さん 心の重荷、手記に /福島
毎日新聞 2015年04月17日 地方版

(写真:牛が食べてやせ細った柱に手を当て、原発事故直後に思いをはせる半杭一成さん=南相馬市小高区で)

 ◇後悔乗り越え飼料栽培
 避難指示解除準備区域に再編された小高区大富で酪農を営んでいた半杭一成(はんぐいいっせい)さん(65)は、牛を置き去りにして避難したことへの後悔を乗り越え、避難指示解除を見据えた飼料用作物の実証栽培に取り組んでいる。

 半杭さんの自宅は福島第1原発から約19キロ。原発事故直後は「家族同然」の牛を見放せずにとどまったが、4日後に避難を余儀なくされた。自宅近くに立ち寄った知人から「おなかをすかせた牛の鳴き声はすさまじかった」と聞かされると、頭に牛のうめき声が響いた。警戒区域指定直前に一度だけ自宅に荷物を取りに帰ったが、「自分の犯した罪を見るのが怖い」と牛舎には目を背けたまま、自宅を後にした。

 5月に入って県職員とともに牛舎を確認した。そこで見たものは、白骨化した牛の死骸、それを食いあさる豚、おびただしい数のウジ虫。かじられてやせ細った牛舎の柱からは、生き延びようとした牛の苦しみがはっきりと見て取れた。

 その後、心の重荷と向き合った半杭さんが復興に向けて選んだのは、「牛へのわび状」として手記を発行することだった。同じ苦しみを知る畜産家や酪農家、死骸の処理や野生化した放れ牛などの捕獲に当たった県職員らにも執筆を依頼し、今年2月に「被災牛と歩んだ700日」を発行した。

 業界紙で手記が紹介されると、全国から問い合わせが殺到し、当初発行した500部はあっという間に底をつき、増刷した。泣きながら「私も牛を飼っているので、気持ちが分かります」と訴える畜産家や、「授業に使いたい」と手記を求める教師など多くの反響が寄せられ、気持ちに一区切りがついた。

 現在、半杭さんは飼料用作物の種まき作業に励む。昨年までの作物は基準値を超える放射性物質が検出されたが、農地除染が終わったため、「今年こそは」と期待を込める。しかし、再び牛を飼う気にはまだなれない。「原発でもう一度事故があったら、また牛を置いて逃げないといけないでしょう」。ひとまずは収穫した飼料を売って生計を立てようと考えている。

 手記についての問い合わせは、半杭さんのメール(iri_hangui@krc.biglobe.ne.jp)へ。【高橋隆輔】


今も福島原発は放射性物質を放出し続けている。なにも収束していない。むしろ、これから、徐々に、もっと深い被害があらわになってくると思われる。首相は、福島は「完全にアンダーコントロール」と世界に向かって胸を張り、そうやって射止めた東京オリンピックも、見通しの甘い杜撰な計画が明らかになり、あれもこれも袋小路に入りつつある。都知事も偉そうに、今になって政府に意見したりしているが、彼だって、その杜撰な計画を、「多くの人が指摘して、無理だ」と忠言しているのにもかかわらず、イケイケで就任したのではなかったか。今、ごねているのは、あまりに押し付けられる経費が大きくなってしまって、都政に影響が出てくるのに恐怖を感じているからだろう。恐怖を感じるのが遅すぎる。

政府は暗い話は一切しない。なるべく、幸先のよい明るい話を国民にしたいというのには一理あるかもしれないが、その明かりが、本物ではない。変な光線に照らされて、眩しすぎ、見たいものが見えない明るさは気持ちが悪い。明るいのではなく、目くらましなのだ。目くらましは、目をつぶす。
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by kokoro-usasan | 2015-05-19 13:07 | きょうの新聞から


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