10円玉
a)
昨日テレビでは、1日中、雪の情報を流し続けていたようだった。なかなか、降ってこないものだから、せっかくの現場中継も空振りで、先週降った雪の残りを見せては、これは、先週の雪です、なんて報道していた。なぜか滅入った。
b)
憎しみや暴力も「連帯」するという事実。敵味方に分かれているようでありながら、それは、ひとつの依存状態であり、連帯の別様式であるようにも思えてくる。「こっくりさん」をやると、なぜ10円玉は動き出のか。世界には、暴力を誘導する「こっくりさん」の装置があちこちに仕組まれているのではないか。誰かとともに震える指で10円玉に 触れると、するすると、その指先の硬貨は動き出す。ひとりで「こっくりさん」をやろうとしても、10円玉は動かない。「こっくりさん」の十円玉に導かれてどこかへゆくことの不安。(そしてもしかしたら恍惚)
ひとりひとりが、自分の10円玉を握りしめて歩き、ときには、その10円玉を、隣に集まったひとたちと見せ合う。「わたしの10円玉はこれだ」と。その10円玉の集まりには価値がある。「こっくりさん」の1枚の10円玉に何万もの人が指を添えて、どこかへ向かうことを、わたしは願えないのだ。お互いに自分の10円玉を握りしめた仲間たちの足音を隣に聞きながら歩くことと、彼らと10円玉で「こっくりさん」をやりながら進むことは違う。わたしは、こっくりさんの連帯が怖い。怖さがだんだん募ってくる。
c)
怒りを「組織」してはならぬ、と、石原吉郎は書いた。
写真は、1年前、長倉洋海さんの写真集に彼が書いてくれたアラビア文字の言葉。その写真集は、20年前から持っていたものなので、茶色く変色してしまっていて、「やけちゃってますね」と長倉さんを苦笑させた。「愛」と書いてあるらしい。
by kokoro-usasan
| 2015-02-06 12:13
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閉じられていないもの
by kokoro-usasan
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