蝉とシジュウカラ
a)
小雨。急に肌寒くなった。パソコンが古いせいで、だんだんどのサイトも開かなくなってきたのだけれど、最近は、自分のブログも中々開かなくなってきたので、ちょっと、笑ってしまう。
スーパーのビニール袋をくしゃくしゃに丸めて遊んでいるような音が庭で聞こえ、なんだろうと外を見ると、雨に濡れた苔の小道付近の木陰からしているらしいとわかった。目を凝らしても見えない。でも、そのくしゃくしゃに丸まったような音を立てるものが、そのあたりを移動しているのは感じられるので、あぁ、蝉なのだなと思った。寿命を迎えた蝉が落ちて羽を鳴らしているのだと。しばらく、じいっと見ていると、茶色いものが、少し手前に転がるように出てきて、庭石の間に挟まるように止まった。ジィィ。やはり蝉だ。庭に下りて、それを拾いにいっても詮無いことだし、どうしようかなと思っていたら、シジュウカラが一羽飛んできて、蝉の側にチュンチュンと寄っていった。間近まで迫って、嘴を寄せたところで、また蝉がジィィィ!といったので、シジュウカラは驚いて、うしろに飛びのき、そのままチチチチチチと逃げていってしまった。シジュウカラの飛んでいった先の雨空を見つめながら、なんとなく、自然のことは、自然に・・・と思い、そのまま、窓を閉めた。
b)
弱い立場の人が、強い立場の人に踏みにじられていればもちろんのことだが、弱い立場の人が、同じように弱い立場の人にナンクセをつけて貶めているような状況を見ると、あぁ、これこそ、強くずるがしこい人たちの「思うつぼ」の状態なのだと思い、辛くなる。弱ければ弱いほど、大きな声を出さなければ、人にその窮地を訴えることはできない。心あるならば、そうしたひとたちが、声を嗄らし、ついには、あられもない怒号となって、周囲の人に疎ましがられるようになる前に、受け止めてあげなければならないのだが、強いものは、むしろ、事態が、弱いもの同士のこぜりあいになるまで待って、そのような状態を逆手に「一斉排除」という力技に持ってゆくこともある。強い立場のひとたちは、自分の権利を主張するときも、潤沢な資金をもって、とてもスマートにことを運ぶ。それとわからないような広告宣伝にまぎれさせて、自分に有利な社会風潮を、うまくコントロールすることにも長けている。弱いひとたちは、ずっと虐げられてきているわけだから、その叫びには怒りが混じり、なかなかスマートな権利のアピールなどできようはずもない。野卑に見えることも、思慮浅く見えることもあるだろう。スマートでいられるうちは、まだ本当に弱い立場ではないと言えるのかもしれない。がむしゃらになって、支離滅裂になってゆく弱者の訴えのなかにある大事なものを、冷静に探し出してあげることはできるだろうか。
自分の屈辱の前に、相手が受けた屈辱をおもんぱかってあげることはできるだろうか。実のところ、わたしなどは、まだまだそれができない。大きな社会問題ともなれば、良心的な判断をしようとするが、すぐ目の前にいる他者とのあいだで、「自分の屈辱」よりもまず「他者の屈辱」を大切におもいやってあげることが中々できない。だとすれば、わたしもまた、弱いものが弱いものを貶める構図にはめ込まれる可能性大だということなのかもしれないと思う。このごろ、しきりに、そのような内省にとらわれる。
c)
母の通うデイホームには、通所のとき、必ず連絡ノートを持たせることになっているのだが、特筆すべきことがないと、毎回、「おかげさまで特に変わりありません」という文字ばかりになってしまうので、ちょっと味気なく思う。かといって、別に面白おかしく書いたり、深刻に報告したりする必要もないので、まぁ、そんなものだと納得してみるのだった。でも、最近、時々、ヒトコマ漫画など描いて遊んでしまう。ペコロスさんではないが、母の暮らしは、なんだか、ユーモラスであり、言葉にすれば、「変わりありません」なのだが、こちらは、それなりに面白がっているのだったから。面白がるというと、ちょっと不遜かな。母がひとりでぼんやりしているときの佇まいなどは、なんということもないのに、なにか、とてもしんみりさせるものがあるし、また、ほっこりさせられることも多い。それは、やはり、ヒトコマ漫画の世界と相性がいいのかもしれない。デイホームのかたたちが、それを見て和んでくれたら、それも嬉しい。
小雨。急に肌寒くなった。パソコンが古いせいで、だんだんどのサイトも開かなくなってきたのだけれど、最近は、自分のブログも中々開かなくなってきたので、ちょっと、笑ってしまう。
スーパーのビニール袋をくしゃくしゃに丸めて遊んでいるような音が庭で聞こえ、なんだろうと外を見ると、雨に濡れた苔の小道付近の木陰からしているらしいとわかった。目を凝らしても見えない。でも、そのくしゃくしゃに丸まったような音を立てるものが、そのあたりを移動しているのは感じられるので、あぁ、蝉なのだなと思った。寿命を迎えた蝉が落ちて羽を鳴らしているのだと。しばらく、じいっと見ていると、茶色いものが、少し手前に転がるように出てきて、庭石の間に挟まるように止まった。ジィィ。やはり蝉だ。庭に下りて、それを拾いにいっても詮無いことだし、どうしようかなと思っていたら、シジュウカラが一羽飛んできて、蝉の側にチュンチュンと寄っていった。間近まで迫って、嘴を寄せたところで、また蝉がジィィィ!といったので、シジュウカラは驚いて、うしろに飛びのき、そのままチチチチチチと逃げていってしまった。シジュウカラの飛んでいった先の雨空を見つめながら、なんとなく、自然のことは、自然に・・・と思い、そのまま、窓を閉めた。
b)
弱い立場の人が、強い立場の人に踏みにじられていればもちろんのことだが、弱い立場の人が、同じように弱い立場の人にナンクセをつけて貶めているような状況を見ると、あぁ、これこそ、強くずるがしこい人たちの「思うつぼ」の状態なのだと思い、辛くなる。弱ければ弱いほど、大きな声を出さなければ、人にその窮地を訴えることはできない。心あるならば、そうしたひとたちが、声を嗄らし、ついには、あられもない怒号となって、周囲の人に疎ましがられるようになる前に、受け止めてあげなければならないのだが、強いものは、むしろ、事態が、弱いもの同士のこぜりあいになるまで待って、そのような状態を逆手に「一斉排除」という力技に持ってゆくこともある。強い立場のひとたちは、自分の権利を主張するときも、潤沢な資金をもって、とてもスマートにことを運ぶ。それとわからないような広告宣伝にまぎれさせて、自分に有利な社会風潮を、うまくコントロールすることにも長けている。弱いひとたちは、ずっと虐げられてきているわけだから、その叫びには怒りが混じり、なかなかスマートな権利のアピールなどできようはずもない。野卑に見えることも、思慮浅く見えることもあるだろう。スマートでいられるうちは、まだ本当に弱い立場ではないと言えるのかもしれない。がむしゃらになって、支離滅裂になってゆく弱者の訴えのなかにある大事なものを、冷静に探し出してあげることはできるだろうか。
自分の屈辱の前に、相手が受けた屈辱をおもんぱかってあげることはできるだろうか。実のところ、わたしなどは、まだまだそれができない。大きな社会問題ともなれば、良心的な判断をしようとするが、すぐ目の前にいる他者とのあいだで、「自分の屈辱」よりもまず「他者の屈辱」を大切におもいやってあげることが中々できない。だとすれば、わたしもまた、弱いものが弱いものを貶める構図にはめ込まれる可能性大だということなのかもしれないと思う。このごろ、しきりに、そのような内省にとらわれる。
c)
母の通うデイホームには、通所のとき、必ず連絡ノートを持たせることになっているのだが、特筆すべきことがないと、毎回、「おかげさまで特に変わりありません」という文字ばかりになってしまうので、ちょっと味気なく思う。かといって、別に面白おかしく書いたり、深刻に報告したりする必要もないので、まぁ、そんなものだと納得してみるのだった。でも、最近、時々、ヒトコマ漫画など描いて遊んでしまう。ペコロスさんではないが、母の暮らしは、なんだか、ユーモラスであり、言葉にすれば、「変わりありません」なのだが、こちらは、それなりに面白がっているのだったから。面白がるというと、ちょっと不遜かな。母がひとりでぼんやりしているときの佇まいなどは、なんということもないのに、なにか、とてもしんみりさせるものがあるし、また、ほっこりさせられることも多い。それは、やはり、ヒトコマ漫画の世界と相性がいいのかもしれない。デイホームのかたたちが、それを見て和んでくれたら、それも嬉しい。
by kokoro-usasan
| 2014-08-28 13:36
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