梨
a)
草深くなってしまった庭をずっと気にしていたのだが、いよいよ重い腰をあげ、草取りに出陣した。暑くなる前にと、朝5時から開始。蚊の餌食にならないように、厚手のズボン、厚手の長袖シャツ、厚手の靴下、と我ながら気の毒なほどの重ね着。7時すぎに、今日はここまでと撤退したが、目深にかぶっていたはずの帽子を脱ぐと、眉の上をまんまと蚊にさされていた。無念。シャワーを浴びて、朝食とする。
b)
回覧板がまわってくる。隣家の奥さんが、我が家の門に絡まって咲いているアサガオを眺めている。先日も、回覧板を持ってこられたときに、「あら、アサガオ・・・」と興味深く見てらっしゃったので、蒔き残っていた種を差し上げた。「うちのは、まだ咲いてないけれど、このくらいになったのよ」と、奥さんが、肩の少し下あたりに掌を持っていった。いいなぁ。お隣のほうが、いっぱい咲くだろうなぁ。なにしろ、我が家のアサガオは、母が、葉っぱをみんなむしってしまうので、ひょろひょろと伸びた茎の先に突如花が咲いているという、前衛芸術的オブジェだらけになっているのだったから。「母が、どうしても、葉を取ってしまうので・・・」とぼやいたら、普段、そんなに笑わない奥さんが、ケラケラと笑ったので、ちょっと驚いた。「それはもう、しかたないわねぇ」奥さんは、母が認知症なのをご存知なので、きっと、わたしが不在のおりなどに、無心に葉っぱをむしっている母を見かけたことがあるのかもしれない。奥さんが思い出し笑いをするところをみると、母は結構楽しそうに葉をむしっているのだろうか。とほ・・・。
c)
「脱法ハーブ」は、その呼び名を改められたそうだが、一部の若い人たちが、現首相のことを、「脱法ソーリ」と呼んでいるのを知って、巧い事を言うなと思った。本当は、脱法というより、歴然とした「違憲」だけれど、「脱法」という姑息な響きのほうが、イメージに合っている気もする。こそこそと逃げ道を探っては、堂堂巡りの言訳でやりすごし、しかし、いつか、自分のあおった煙のせいで、全身痙攣を起こしかねない危険。外交も経済も、「脱法ハーブ」のような「浮かれ感」だけで、重要な課題は、実質としてはどれひとつとして進んでいないことがめくらましされている。
d)
店頭に梨が並び始めた。
梨は、イスラエルやパレスチナの地でも、比較的さかんに生産されているそうだ。かつて、そう教えてくれたのは、イスラエルから来ていたトーファという名の女性だった。紛争の続く祖国を嫌って日本に来ていた。同じ果実を好む人間が、国境を隔てて、殺しあっている。わたしは梨を食べたい。誰にも人を殺させずに。誰にも殺されずに。
草深くなってしまった庭をずっと気にしていたのだが、いよいよ重い腰をあげ、草取りに出陣した。暑くなる前にと、朝5時から開始。蚊の餌食にならないように、厚手のズボン、厚手の長袖シャツ、厚手の靴下、と我ながら気の毒なほどの重ね着。7時すぎに、今日はここまでと撤退したが、目深にかぶっていたはずの帽子を脱ぐと、眉の上をまんまと蚊にさされていた。無念。シャワーを浴びて、朝食とする。
b)
回覧板がまわってくる。隣家の奥さんが、我が家の門に絡まって咲いているアサガオを眺めている。先日も、回覧板を持ってこられたときに、「あら、アサガオ・・・」と興味深く見てらっしゃったので、蒔き残っていた種を差し上げた。「うちのは、まだ咲いてないけれど、このくらいになったのよ」と、奥さんが、肩の少し下あたりに掌を持っていった。いいなぁ。お隣のほうが、いっぱい咲くだろうなぁ。なにしろ、我が家のアサガオは、母が、葉っぱをみんなむしってしまうので、ひょろひょろと伸びた茎の先に突如花が咲いているという、前衛芸術的オブジェだらけになっているのだったから。「母が、どうしても、葉を取ってしまうので・・・」とぼやいたら、普段、そんなに笑わない奥さんが、ケラケラと笑ったので、ちょっと驚いた。「それはもう、しかたないわねぇ」奥さんは、母が認知症なのをご存知なので、きっと、わたしが不在のおりなどに、無心に葉っぱをむしっている母を見かけたことがあるのかもしれない。奥さんが思い出し笑いをするところをみると、母は結構楽しそうに葉をむしっているのだろうか。とほ・・・。
c)
「脱法ハーブ」は、その呼び名を改められたそうだが、一部の若い人たちが、現首相のことを、「脱法ソーリ」と呼んでいるのを知って、巧い事を言うなと思った。本当は、脱法というより、歴然とした「違憲」だけれど、「脱法」という姑息な響きのほうが、イメージに合っている気もする。こそこそと逃げ道を探っては、堂堂巡りの言訳でやりすごし、しかし、いつか、自分のあおった煙のせいで、全身痙攣を起こしかねない危険。外交も経済も、「脱法ハーブ」のような「浮かれ感」だけで、重要な課題は、実質としてはどれひとつとして進んでいないことがめくらましされている。
d)
店頭に梨が並び始めた。
梨は、イスラエルやパレスチナの地でも、比較的さかんに生産されているそうだ。かつて、そう教えてくれたのは、イスラエルから来ていたトーファという名の女性だった。紛争の続く祖国を嫌って日本に来ていた。同じ果実を好む人間が、国境を隔てて、殺しあっている。わたしは梨を食べたい。誰にも人を殺させずに。誰にも殺されずに。
by kokoro-usasan
| 2014-08-03 12:25
| 日々
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