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雪の窓辺で。

雪の窓辺で。_e0182926_10451343.jpg今朝、静かに庭の草木を濡らしていた雨が、先ほどから雪に変わった。朝一番で家の改修工事完了の手続きをして、あとはぼんやり。このまま午後の出勤の時間まで、雪に幽閉されているのもいいかなぁと思う。

昨夜、布団にもぐって、「鬼火」を見始めたのだけど、途中で何度も眠ってしまい、ラストの銃声で起きた。もう一度見ないと、話がよくわからない。ただ、モノクロのパリの街は、きらきらとしていて、主人公が強いお酒をあおってふらふらしながら眺める街の人たちはみな光のなかにいるようだった。わたし自身が寝ぼけ眼で見ているので、酩酊する主人公以上に、幻めいて見えたのだろう。ただし、わたしには今、彼のような「絶望」が許されていないので、そんなふうに光のなかにいるひとたちに、さよならとつぶやかなくてすむ。それはそれで漫然とした安堵のようなものを手繰り寄せながら、こんどはしっかりと朝までの眠りに落ちていった。

雪の窓辺で。_e0182926_11311679.jpgところで、「アレッポの石鹸」が、少し前「在庫処分」で安く売られているのを見て、すぐ使う予定はなかったのだけれど、ひとつ買った。もう手に入らないかもしれないと思ったのだ。シリアの内戦の様子が新聞で取上げられるようになったとき、最初に心配したのは、実は、この「アレッポの石鹸」だった。原産でもあるオリーブオイルを用いたこの伝統的で素朴な石鹸は、かつてシリアのアレッポの女性たちが手作りしているという触れ込みで宣伝され人気を博したものだった。顔をしわくちゃにして笑うアレッポの女性たちの写真がよく紹介されていた。もちろん、実際には、きちんと工場をかまえた産業として成立しているのだろうけれど、今では、戦闘の続くその街で、彼女たちがどうしているのか気になってしかたなかった。犠牲になったかたがいないとは言い切れない。こうしたささやかなものを踏みにじって、あとになにが残るのだろうか。
by kokoro-usasan | 2013-02-19 11:22 | つぶやき | Comments(0)


閉じられていないもの


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