はんぺん
これでは寒すぎる。と思うのでした。きょうのこの凍えるような冷たい雨。もう少し、お慈悲をたまわりたく思いますが、誰に頼めばいいのでしょう。ぐすん。
こう寒いと、おでんが食べたくなります。あったかい空間が恋しくなります。
そういえば、先月、下北沢に加藤健一さんのお芝居を見に行った帰り、まったく不案内な下北沢ですが、ちょっとだけぶらぶらしていたところ、面白そうなお店の看板があったので、2階にあるらしいそのお店の階段をおそるおそる上ってゆきました。ドアを開けて入るなり、読んだことのある懐かしい絵本たちが左手の本棚に並んでいたので、あぁ、わたしが入ってもダイジョウブみたいだな、と思いました。場違いだったら、即逃げ帰るつもりだったのです。笑。その日は「墨いろいろ展」というのをやっていて、16人のかたたちによる墨を使った作品が思い思いに飾られていました。丸太の椅子が置かれていて、なんだか囲炉裏の匂いがしてきそうな空間でした。囲炉裏だなんて言っちゃいましたが、夜は小粋な居酒屋さんになるのだそうです。(あー。札幌の「もっきり屋」さんにまた行きたいなぁ。美味しくて、やっぱり囲炉裏の匂いがしそうな居酒屋さんでした)
学生の頃、友人たちが、もし映画を作るならという話をしていて(文学青年はみな一度はそういうことを考えるみたいですよね)、わたしの配役は、なぜか、「マグダラのマリア」と「居酒屋のおかみさん」でした。何故、こんなに品行方正、楚々たる淑女であるはずのわたしが(ぶはっ)、そんな役所を申し渡されるのか皆目わかりませんが、「居酒屋のおかみさん」は、ちょっとやってみたいです。そうそう、地元にたったひとりでカレー屋さんをやっている女性がいて、開店はもう20年前くらいのことになります。当時、まだ20代前半に見えた娘さんだったので、やってゆけるのかなぁと思ったものですが、なんのなんの、無垢の木材で作られたお店が一段といい色になって健在です。その女性が、お店でお客さんとやりとりしていると、常連さんだったとしても、そのかたたちの経験を通じて、同じ人に何度でも新しく会えるからすてきだと言ってらっしゃいました。そうかもしれませんね。居酒屋のおかみさんも、カウンターのなかから、お客さんを定点観測するみたいな面白さがありそうです。子供の頃、父と銭湯の帰り道、屋台のおでん屋さんで、はんぺんを食べさせてもらうのが楽しみだったことがあります。もっと、おいしいのがありそうなのに、子供でしたから、白くてふわふわしてるはんぺんが好きだったのです。屋台のおじさんも、そんなわたしと父を、「お、あの親子、また来たな」なんて思いながら見ていたのでしょうね。 ちなみに母と一緒に銭湯のときは、屋台の前は素通りでした。ザンネン!笑。
考えてみると、わたしは、お客さんが訪ねてきてくれる仕事をいつも選んできました。自分では未知のお店の扉を開けるのさえ臆病で苦手なのに、人には出会いたいのです。だから、自分自身をお店に置いて、誰かが訪ねてきてくれるのを待っている、そんな仕事を選んだのでしょうか。そんなに愛想もよくないし、勝手なお客さんには、びしっと物申してしまうところもあって、「あんたに怒られちゃうから、まじめにやりまーす」なんてお客さんに笑われることもあるのですけれど、でも、なんでだか、こんなに人見知りのわたしが、ずっと接客業(法律事務所も!)。不思議です。 もしかしたら、わたしは、ほんとに、屋台のおでん屋さんがやりたいのかもしれません。無口なおでん屋さん。毎度毎度やってくる親子や、独り者や、お客さんたちを横目でちらりと見ながら、きょうの調子はどう?なんてうかがいつつ、お皿にはんぺんをのせて出すおでん屋さん。そうして、家に帰ってきて、みんなに元気でいてほしくて、ちょっぴり社会のなりたちに思いをめぐらしてみたりする、そんなおでん屋さん。
それができないから、ブログにはんぺんのせて出しているのかしらね。味のよくしみこんでるとき、そうじゃないとき、いろいろあれど。くすっ。
寒いですから、みなさん、今夜もあったかくしておやすみください。
こう寒いと、おでんが食べたくなります。あったかい空間が恋しくなります。
そういえば、先月、下北沢に加藤健一さんのお芝居を見に行った帰り、まったく不案内な下北沢ですが、ちょっとだけぶらぶらしていたところ、面白そうなお店の看板があったので、2階にあるらしいそのお店の階段をおそるおそる上ってゆきました。ドアを開けて入るなり、読んだことのある懐かしい絵本たちが左手の本棚に並んでいたので、あぁ、わたしが入ってもダイジョウブみたいだな、と思いました。場違いだったら、即逃げ帰るつもりだったのです。笑。その日は「墨いろいろ展」というのをやっていて、16人のかたたちによる墨を使った作品が思い思いに飾られていました。丸太の椅子が置かれていて、なんだか囲炉裏の匂いがしてきそうな空間でした。囲炉裏だなんて言っちゃいましたが、夜は小粋な居酒屋さんになるのだそうです。(あー。札幌の「もっきり屋」さんにまた行きたいなぁ。美味しくて、やっぱり囲炉裏の匂いがしそうな居酒屋さんでした)
学生の頃、友人たちが、もし映画を作るならという話をしていて(文学青年はみな一度はそういうことを考えるみたいですよね)、わたしの配役は、なぜか、「マグダラのマリア」と「居酒屋のおかみさん」でした。何故、こんなに品行方正、楚々たる淑女であるはずのわたしが(ぶはっ)、そんな役所を申し渡されるのか皆目わかりませんが、「居酒屋のおかみさん」は、ちょっとやってみたいです。そうそう、地元にたったひとりでカレー屋さんをやっている女性がいて、開店はもう20年前くらいのことになります。当時、まだ20代前半に見えた娘さんだったので、やってゆけるのかなぁと思ったものですが、なんのなんの、無垢の木材で作られたお店が一段といい色になって健在です。その女性が、お店でお客さんとやりとりしていると、常連さんだったとしても、そのかたたちの経験を通じて、同じ人に何度でも新しく会えるからすてきだと言ってらっしゃいました。そうかもしれませんね。居酒屋のおかみさんも、カウンターのなかから、お客さんを定点観測するみたいな面白さがありそうです。子供の頃、父と銭湯の帰り道、屋台のおでん屋さんで、はんぺんを食べさせてもらうのが楽しみだったことがあります。もっと、おいしいのがありそうなのに、子供でしたから、白くてふわふわしてるはんぺんが好きだったのです。屋台のおじさんも、そんなわたしと父を、「お、あの親子、また来たな」なんて思いながら見ていたのでしょうね。 ちなみに母と一緒に銭湯のときは、屋台の前は素通りでした。ザンネン!笑。
考えてみると、わたしは、お客さんが訪ねてきてくれる仕事をいつも選んできました。自分では未知のお店の扉を開けるのさえ臆病で苦手なのに、人には出会いたいのです。だから、自分自身をお店に置いて、誰かが訪ねてきてくれるのを待っている、そんな仕事を選んだのでしょうか。そんなに愛想もよくないし、勝手なお客さんには、びしっと物申してしまうところもあって、「あんたに怒られちゃうから、まじめにやりまーす」なんてお客さんに笑われることもあるのですけれど、でも、なんでだか、こんなに人見知りのわたしが、ずっと接客業(法律事務所も!)。不思議です。 もしかしたら、わたしは、ほんとに、屋台のおでん屋さんがやりたいのかもしれません。無口なおでん屋さん。毎度毎度やってくる親子や、独り者や、お客さんたちを横目でちらりと見ながら、きょうの調子はどう?なんてうかがいつつ、お皿にはんぺんをのせて出すおでん屋さん。そうして、家に帰ってきて、みんなに元気でいてほしくて、ちょっぴり社会のなりたちに思いをめぐらしてみたりする、そんなおでん屋さん。
それができないから、ブログにはんぺんのせて出しているのかしらね。味のよくしみこんでるとき、そうじゃないとき、いろいろあれど。くすっ。
寒いですから、みなさん、今夜もあったかくしておやすみください。
by kokoro-usasan
| 2012-12-03 19:53
| つぶやき
|
Comments(2)
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よも
at 2012-12-04 10:34
x
はんぺん。
ふかふかあたたかいはんぺんに切れ目を入れて中に入って眠りたい。
ふかふかあたたかいはんぺんに切れ目を入れて中に入って眠りたい。
0
Commented
by
kokoro-usasan at 2012-12-04 19:54
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
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