家づくりの会を読みながら。
友人が発行しているフライフィッシングの雑誌(※注1)以外には決まった購読誌を持たないわたしですが、例外として毎月発行を楽しみにしているフリーペーパーがあります。それが左の写真に写っている「家づくりの会」(NPO法人家づくりの会発行)です。紙にしていうとA3用紙1枚を折りたたんだだけのたった4ページの紙面なのですが、副題に「家を建てたい人と建築家を結ぶ情報誌」とあり、毎号、建築家のかたたちの家づくりへの思い、その肉声が聞こえてくるようなシンプルで親しみの持てる内容です。妙に気に入ってしまってかれこれもう6年のファン歴。そうはいっても、我が家は築45年を越えようとする老朽家屋で新築も改築も予定にないため、毎号掲載される素敵な家の写真をただうっとり眺めるばかりなのですけど。(読んでいるときに必ず心に浮かぶ妄想は、年末ジャンボたからくじが当たったらばぁーーの図であります。ムフ。)
今月も11月号を眺めながら、ねんまつじゃんぼエクストリームがアタマのなかを経巡ったのですが、それよりも今回は巻頭を飾った建築家みつだ正ニさんの言葉が心に残りました。みつださんは、既に故人となられた有名書道家からラブコールを送られるほどの書道の腕前をお持ちのかただったようなのですが、そちらには進まず建築の世界に進まれたのですね。こうして大学時代に縁を切ってしまった書の世界でしたが、今年8月、ひさしぶりに上野で開かれた「青山杉雨(さんう)の眼と書」をご覧になったのだそうです。
しかしそこでみつださんは杉雨の書を、どれもきれいにまとめようとする意識が勝ちすぎているんじゃないかと感じる。「面白い形ですが、わたしにはまとまりすぎていると感じてしまう。空間に対して、字が謀反を犯していない」
そこで比較されたのが傳山の書。「自由奔放そのままのものであり、実に面白いと考えます。美しいというカテゴリーには入りません。住宅の設計もこのように無碍の大道の境地にありたいと思います」
わたし・・・、臆病な人間だから、こういう言葉にいつも胸を掴まれる思いがするんです。ずしんとくる。ぐらっと揺れる。みちっと気圧される。うな垂れながら、でも、心のどこかで、自分も謀反をおこせるだろうかって問うキモチがふわぁっと湧いてくる。みつださんは傳山の書を「美しいというカテゴリーには入らない」と仰ったけれど、では、「美しい」ってどういうものなのか、それだって、そつなくまとめて考えちゃいけないのかも。
築45年の家にこれからも暮すわたし。家もわたしも老朽化しても土台の危うさはどうにも油断できない状態ですが、「え?それもありですか?」っていうような自由さで生きられたらいいな。誰とも違う美のカテゴリーをたったひとり自分のためにもうひとつこしらえてあげられるくらい自由になれたら嬉しいな。
※注1 友人の発行している雑誌
「フライの雑誌」と言います。わたし自身は釣りをしないので、毛鉤の写真も、わぁ、カラフルだわぁ~、と面白がって眺めているばかりの反則読者なのですが、そのへんがわからなくても、読み物としてかなり充実している雑誌だと思います。それにレイアウトが毎号とてもきれいで、紙面に作り手の心意気を感じます。金魚すくいですら、もう遠い昔のことと思ってらっしゃる方でも一読の価値ありですよー。
今月も11月号を眺めながら、ねんまつじゃんぼエクストリームがアタマのなかを経巡ったのですが、それよりも今回は巻頭を飾った建築家みつだ正ニさんの言葉が心に残りました。みつださんは、既に故人となられた有名書道家からラブコールを送られるほどの書道の腕前をお持ちのかただったようなのですが、そちらには進まず建築の世界に進まれたのですね。こうして大学時代に縁を切ってしまった書の世界でしたが、今年8月、ひさしぶりに上野で開かれた「青山杉雨(さんう)の眼と書」をご覧になったのだそうです。
しかしそこでみつださんは杉雨の書を、どれもきれいにまとめようとする意識が勝ちすぎているんじゃないかと感じる。「面白い形ですが、わたしにはまとまりすぎていると感じてしまう。空間に対して、字が謀反を犯していない」
そこで比較されたのが傳山の書。「自由奔放そのままのものであり、実に面白いと考えます。美しいというカテゴリーには入りません。住宅の設計もこのように無碍の大道の境地にありたいと思います」
わたし・・・、臆病な人間だから、こういう言葉にいつも胸を掴まれる思いがするんです。ずしんとくる。ぐらっと揺れる。みちっと気圧される。うな垂れながら、でも、心のどこかで、自分も謀反をおこせるだろうかって問うキモチがふわぁっと湧いてくる。みつださんは傳山の書を「美しいというカテゴリーには入らない」と仰ったけれど、では、「美しい」ってどういうものなのか、それだって、そつなくまとめて考えちゃいけないのかも。
築45年の家にこれからも暮すわたし。家もわたしも老朽化しても土台の危うさはどうにも油断できない状態ですが、「え?それもありですか?」っていうような自由さで生きられたらいいな。誰とも違う美のカテゴリーをたったひとり自分のためにもうひとつこしらえてあげられるくらい自由になれたら嬉しいな。
※注1 友人の発行している雑誌
「フライの雑誌」と言います。わたし自身は釣りをしないので、毛鉤の写真も、わぁ、カラフルだわぁ~、と面白がって眺めているばかりの反則読者なのですが、そのへんがわからなくても、読み物としてかなり充実している雑誌だと思います。それにレイアウトが毎号とてもきれいで、紙面に作り手の心意気を感じます。金魚すくいですら、もう遠い昔のことと思ってらっしゃる方でも一読の価値ありですよー。
by kokoro-usasan
| 2012-11-25 22:27
| トピックス
|
Comments(0)
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
最新の記事
雨続き⑵ |
at 2024-03-26 20:19 |
雨続き |
at 2024-03-26 10:33 |
沈丁花 曇天 |
at 2024-03-24 11:59 |
ふき |
at 2024-03-12 11:44 |
与一 |
at 2024-03-11 12:12 |
竹取物語 |
at 2024-03-04 13:15 |
意地悪はしないにかぎる |
at 2024-03-01 11:29 |
言い訳が多いのは、無いも同じと。 |
at 2024-02-26 12:40 |
遠くまで見晴らせるキッチン |
at 2024-02-24 18:40 |
フジヤ君の弟 |
at 2024-02-23 21:39 |
以前の記事
2024年 03月2024年 02月
2024年 01月
more...
カテゴリ
全体日々
つぶやき
ことば
音楽
映画
本
演劇
旅
トピックス
スナップ
すてき
あやしい特派員
さまよえる消費者
すきなもの
あじわい~
気になるこの子
展覧会
庭の楽しみ
手をうごかしてみる
追想
ごあいさつ
きょうの新聞から
幕間
一枚の写真
ダンス
※
夢
未分類