paloma quiero contarte
友人から届いた絵葉書
Ben Shahn ベン・シャーン 「詩篇第133篇」(1963 福島県立美術館蔵)
この日記を閉じて、別の場所で0から新しく始めようと思いながら、何も出来ずにいたわたしはこの鳩の絵葉書を見て、ふいに、自分の古い日記(この日記のタイトルの由来でもあるのだけれど)のことを思い出した。
その日記は「paloma quiero contarte」というタイトルだった。
大好きなチリの歌手Victor Jara(ビクトル・ハラ)の曲のタイトルを拝借したもので、邦題では「小鳩よ、君に語りたい」と訳されているものだ。平和への強い意志を漲らせながらも、どこまでも優しかった彼のその歌声のように、わたしも、未知の誰かに、そっと自分の思いを語りかけてみたいと思ったのだ。それは、その最初の一日目から、思うようにはならないちっぽけで卑近な日常雑記になってしまったけれど、タイトルに助けられるように、結構長く続いた。
もう一度、そのタイトルで新たに始めてみようかと思い、しばらく考えていた。
でも、結論からいうと、出来なかった。わたしは、もうどこにも行きたくなかった。新しい場所で、新しく始めれば、新しい幸せがやってくるのではないかという空想がもはや、自分にとって、全く魅力的な話ではなくなっていることに気づいた。
しばらく前に、とても印象的な文章を読んだ。
あるかたが、自分は人間にとても興味がある、と自己分析したところ、思慮深い友人がそれに異を唱えたのだという。「あなたが興味を持っているは、人間ではなく、幸せでしょう」と。それは、苦言ということではないかもしれない。単純にそうだというだけのことかもしれない。でも、わたしには、とても意味深な忠告のように思え、まるで、自分に言われたようにガツンときた。幸せも、不幸も、すべて抱き、すべて背負い、そして、人間が好きだといえるかどうか。
わたしは、この日記を、二度も三度も前言を翻す情けない人間の等身大としてそのまま晒すことにしようと思う。右往左往してみっともない人間の、明晰でも意志的でもなく、誤謬と小心さにまみれた身辺の記録として、このまま続けようと思う。
※ 詩篇第133篇
みよ はらからあひむつみて、ともにをるは いかによく いかにたのしきかな。
かうべにそそがれたるたふときあぶら ひげにながれ アロンのひげにながれ、
そのころもの すそにまで ながれしたたるがごとく
また ヘルモンのつゆくだりて シオンのやまにながるるがごとし
そはエホバ かしこにさいはひをくだし かぎりなきいのちをさへ あたへたまへり
by kokoro-usasan
| 2012-08-17 22:22
| ごあいさつ
|
Comments(3)
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めざ
at 2012-08-18 20:26
x
人は変わっていくものだと思います。(多くの場合)
よほど強靭な精神を持って自分を律していかないかぎり。
少しずつだったり、大きくだったり、人は変化していきますが、その人であることには変わりはなく、たぶん、人ぞれぞれが変わることのない核(梅干しの種みたいな)があるからだと思うのです。
てなわけで、MさんでもTさんでもココウサさんでも、私にとっては多面的な一人を眺めているということで、ここでこうして新たな日々の移り変わりを眺めさせていただけるのは、至福であります。
ありがとう。
よほど強靭な精神を持って自分を律していかないかぎり。
少しずつだったり、大きくだったり、人は変化していきますが、その人であることには変わりはなく、たぶん、人ぞれぞれが変わることのない核(梅干しの種みたいな)があるからだと思うのです。
てなわけで、MさんでもTさんでもココウサさんでも、私にとっては多面的な一人を眺めているということで、ここでこうして新たな日々の移り変わりを眺めさせていただけるのは、至福であります。
ありがとう。
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よも
at 2012-08-19 12:03
x
鳩はねノアが水が引いたか確かめるために飛ばしたらオリーブの枝をくわえて帰ってきたの。
だから、Mという名前が大好き、まえにも書いたんだった、あはは。
Tという名前私が勝手に縮めて呼び名変えたの憶えてますか?
仲良くなりたくて悪ふざけしちゃってあのころは私の片思いだったね。
Kokoさん日記は毎日朝晩欠かさずみてます。
繋がり…本当に人は変わっていくけど、繋がり方も変わるけど、手を握ってるのは変わらないよね?
だから、Mという名前が大好き、まえにも書いたんだった、あはは。
Tという名前私が勝手に縮めて呼び名変えたの憶えてますか?
仲良くなりたくて悪ふざけしちゃってあのころは私の片思いだったね。
Kokoさん日記は毎日朝晩欠かさずみてます。
繋がり…本当に人は変わっていくけど、繋がり方も変わるけど、手を握ってるのは変わらないよね?
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kokoro-usasan at 2012-08-20 06:02
わたしは生きるのはとっても下手ですけど、箱舟のみんなのために
水が引いたかどうか確かめに飛んでゆく役目なら、喜んで
引き受けたいです。
体力ない鳩なんで、箱舟のほうが先に、オリーブの地に到着
しちゃって、「おい、鳩はどうしたんだよ」なんて、叱られちゃい
そうですけど。ぽろりーん。涙。
ベンヤミンが友人にあてた手紙に、こういう一節があります。
わたしの好きな言葉です。
「夜の中を歩み通すとき、助けになるものは、橋でも翼でもなくて
友の足音だ」
それは、お互いの足音に耳を澄まし続けるということでもあり、
だから、みな、歩き続けましょう。傍らをゆく友のためにも。
ね。よもちゃん。
大丈夫よ。
水が引いたかどうか確かめに飛んでゆく役目なら、喜んで
引き受けたいです。
体力ない鳩なんで、箱舟のほうが先に、オリーブの地に到着
しちゃって、「おい、鳩はどうしたんだよ」なんて、叱られちゃい
そうですけど。ぽろりーん。涙。
ベンヤミンが友人にあてた手紙に、こういう一節があります。
わたしの好きな言葉です。
「夜の中を歩み通すとき、助けになるものは、橋でも翼でもなくて
友の足音だ」
それは、お互いの足音に耳を澄まし続けるということでもあり、
だから、みな、歩き続けましょう。傍らをゆく友のためにも。
ね。よもちゃん。
大丈夫よ。
閉じられていないもの
by kokoro-usasan
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