渓谷のこどもたち
昨夜読みそびれた新聞を今朝眺めていたら、一目で大好きになってしまった写真があった。無断転載すみません。でも、同じ新聞を取ってないひとにもご紹介したくて。なにも作為のない、自然なひとこま。これは、「マスード」を撮った長倉洋海さんが、きのうの毎日新聞の夕刊に寄稿していた中の写真。アフガニスタン・パンシール渓谷。子供たちが、川向こうの学校へ通うところ。子供たちは、貧しい生活のなかで、毎日学校へ通えるわけではないけれど、だから、学校へ行ける日が楽しくてたまらないのだという。坂道を下ってゆく子供たちの様子から、その嬉しさが伝わってくる。映画「初恋のきた道」のひとこまを思い出した。
生まれる前から国は内戦続き。満足な教育も受けられずに、そのまま武器を持たされた大人になり、世界にはそうではない暮らしを送っている国もあることさえ知らずに命を落としてゆく子もいるだろう。
昨年からの日本が抱える閉塞感、危機感、徒労感は、みな、なるほど根拠のあることで、日本はもうだめだ、という雰囲気が、まだそんなふうに自国を揶揄するだけのヘンな虚栄心と一緒になって蔓延している。でも、この写真を見ていて、「もうだめだ」というのは、なにを基準にした場合の、「もうだめだ」なのかを、考え直してみたほうがいいようだなと思った。
自らが戦って勝ち取ったこともない「権利」を、生まれたときから与えられていたわたしたちは、そういうまやかしにかすめとられて、どれもこれも、権利と名のつくものは、なんでもがめつく利用しない手はないと思っている。そういう風潮に辟易として、「権利はご辞退する」と言った人をわたしは知っているけれど、「与えられた権利など要らない」という人が、自分の志で生きるということは、権利を盾に利益を主張する人などより、ずっと、この写真の中の子供たちにとっては、必要で、かつ尊いものだ。それは、この子供たちにとってというだけでなく、すべての子供たちに、なのだろう。そういう人が増えればいいのだ。
わたしには、なにができるだろうか。 そう思った。
by kokoro-usasan
| 2012-02-10 12:11
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