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Tシャツ男

急に寒くなってきた。所用で新宿に出かけたら、コートを着ている人が多かったので、上着なしの自分が、季節はずれのようでやや肩身が狭かったけれど、帰りの電車で隣に座った中年男性はなんとまだ半袖のTシャツだったので、ちょっと肩身が広くなった。それにしても、半袖のTシャツでは寒かろうに。

わたしは電車の中で、ウィーナーの「サイバネティックス」(岩波文庫)という本と格闘していたのだが、サイン・コサインでさえ投げ出した人間が彼の数式など判るはずもなく、数式が並んだ部分になると、突然、老眼の度が進んだ感じで文字がかすんでくる。それでも文字の多いところ(そういう区別?)に来ると、中々興味深いことが書いてあるので、そこだけにとりあえず集中する。この話はまたいつか機会があれば。

ところで、わたしが老眼の度を深めつつ文庫を読んでいる間、Tシャツ氏は、「M」という字のロゴデザインに没頭していた。新宿から一緒に乗り込んで降りた駅も同じだったので、降り際、紙にたくさん並んだ「M]の字をちらりと盗み見した。そのなかに、あ、それいいんじゃない、というのが一つだけあったのだけど、いきなりそう言うわけにも行かず、そのまま別れた。

電車に乗っている間、携帯に地方の友人からの着信履歴があったので、駅についてから掛け直すと、同僚達と呑み始めていたらしく、同僚たちは、電話の相手が彼の細君だと勘違いして、「いつもお世話になっております」とか「先日はありがとうございました」と、電話口に出てきては優しいことを言う。訂正する間もなくて困ってしまったけれど、仕事で、男社会にまじっているわたしは、ついぞ、そんな扱いは受けたことがないような気がして、男性たちの他人の「細君」への気遣いに、なんだか、ふぅっと溜息が出た。一目置かれ大事にされるのだナァと思う。でも、今度、こういうことがあったら、面倒でもきちんと訂正しようと思う。

今朝、常吉さんのブログを見たら、常吉さんが、大きなイラスト入りの真っ赤なTシャツで呑んでいる写真だったので、ありゃ、ここにもTシャツの人がいたと可笑しくなった。でも、とても似合っている。わたしも男に生まれていたら、一年中イラスト入りTシャツにGパンで過ごしてるような男になっただろうか。ひょっとすると、今もそうなりたいのかもしれないな。

元祖Tシャツ男といえば、この人かしら。
Tシャツ男_e0182926_11412695.jpg
(J・J こと故植草甚一氏)
by kokoro-usasan | 2011-10-21 11:45 | 日々 | Comments(0)


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