YOU NEEDED ME


向田邦子のドラマがリメイクされるのだと読み、昔、彼女の「幸福」という
ドラマで流されていた曲のことを思い出した。
アン・マレーの「辛い別れ」(邦題)という曲だった。

向田さんご本人が、とても好きな曲だったのだと聞いた覚えがある。

わたしは当時まだ若かったので、この歌詞を、若い娘が、自分の傍で
自分を真摯に愛してくれる人の存在を大事に出来ず、相手が去って
しまってからその大きな喪失の痛手を噛み締めている歌なのだと思い、
自分も多分にそういう浅はかさのあることを自覚していたわたしは
しんみりと、この曲に聴き入ったものだった。

もちろん、その解釈でそう間違ってはいないと思う。
ただ、向田さんがこの曲を好きだったのは、そういう若気の至りのような
痛みに共感してというだけではなかったのではないかと、今になって
思った。実は今朝、アン・マレーのレコードを出してきて聴いていたのだ。

向田さんは、本当に誰か愛する人を亡くしたのではなかったか。

真夏のある日、飛行機墜落事故の搭乗者リストの中に、
K・ムコウダ、という名前がある、とニュースが報じたとき、
わたしは、それを大阪の友人の家に泊まりに行っていて
知ったのだが、友人の母親が、
「ムコウダって、向田邦子さんかも知れないって」と
声をひそめたのを、今もありありと思い出せる。

惜しまれる死だったし、早すぎる死だった。

でも、向田さんは、自分を必要としてくれた人のところへ
急いで旅立ったのかもしれなかった。
そう思うと、なんだか、向田さんらしいような気もして・・・。
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by kokoro-usasan | 2011-07-26 10:08 | 音楽 | Comments(2)
Commented by kobo-tan at 2011-08-27 00:53
私も同じタイトルでブログ記事を書き、偶然こちらを見つけました。これから少しずつ見させていただきます。
Commented by kokoro-usasan at 2011-08-27 23:47
コメントありがとうございました。「幸福」は本当に地味なドラマでしたね。笠智衆さん演じる死期近い父親が、だらしない姉を非難する几帳面な妹に、マフラーの編目はきっちり揃っているものよりも、ゆるゆると編まれているほうが実は暖かかったりするものだよと語る病床のシーンがとても印象に残っています。向田さんはこういう深いセリフの書ける作家さんでしたねぇ。選曲も渋かったです。

ここはテーマもなく気ままなことを書き連ねているだけのブログなのでなんだか恐縮ですけれど、よかったら、また、どうぞお立寄りくださいね。


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