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girls_e0182926_19342454.jpg水森亜土のイラストが文房具やバッグや付録や、そういった身の回りのグッズにあふれていた、そういう時代にわたしは小学生だったのでした。「アドちゃん」と子供でも彼女のことを親しげに呼び、テレビで絵を描いている彼女を見かけると、「あ、アドちゃんだ!」と興味津々で、そのユニークなパフォーマンスに見入ったものでした。

40年近く経っても、彼女はあのときのままの元気さで天衣無縫に活動されているのを知り、なんだか、とても懐かしくなりました。イラストのオリジナリティが、いまも燦然と輝いています。いわさきちひろの絵がそうであるように、アドちゃんの絵も、アドちゃんとすぐ判る絵です。


もちろん、今も、アドちゃんのイラストのついた筆箱を使っているというわけではないけれど、わたしは、アドちゃんの絵、とっても好きですね。うきうき、わくわく、はっぴー、な絵なんだもの。チアフルで、チャーミング。けれど、それだけでない、確かさなデッサン力をわたしは彼女の絵に感じています。あんな2頭身のような人体にデッサン力なんて要るの?と思われるかもしれませんが、部分に誇張はあっても嘘のないポーズをとっています。

絵や漫画って、絵や漫画をお手本に人体の描き方をマスターした人と、ホンモノの人間をお手本に人体をマスターした人では、やっぱり、どこか違うんですね。リアルに描いてても嘘のあるポーズがあるのが前者、すごくデフォルメしてるように見えてポーズとして嘘がないのが後者だと感じています。そして、アドちゃんの絵は後者なの。アドちゃんは人間の魅力的な動きを、とてもよく観察してきた人だけが出せる微妙な曲線に精通していると思います。小首を傾げたり、ちょっと肩をずらしたり、そういう、一瞬のニュアンス。

去年、弥生美術館で「水森亜土展」が開かれていたようなのですが、見にいけなくて残念でした。ところで、アドちゃんの、「亜土」っていうのは、市川房枝さんの右腕だった実の母上がつけた名前で、「亜細亜の土に返れ」という意味だったのですって。アドちゃんもとてもユニークな人だけれど、お母様も自由で強い信念をお持ちの方だったのですね。アドちゃんの絵に触れながら育った子供時代を思い出して、「これ、かわいいなぁ」「これ、いいなぁ」って、ときめいたりしてた頃の自分の素直さが恋しい気もする夜です。
by kokoro-usasan | 2011-05-01 20:05 | すてき | Comments(0)


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