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あいうち


差違えるような本気さはいつもなかった。手負いではあったが、皆、逃げていった。
暖かい日差しがその道の先にあるのを、知っているから、逃がしてやった。
逃がしてやると言って、逃げていかないものは居なかった。
彼らは皆、善き人々だった。
麗らかな陽だまりの向こうへ振り返りもせずに翔けていった。

  



  今朝ふいに、小学生の頃のことを思い出した。
  兎と鶏を飼っていた飼育小屋に夜中、猫が入ったらしい。
  先生は子どもたちが登校する前に、その片付けを済ませた。
  無惨な状態で発見されたのは、鶏ではなく、猫と兎であったそうだ。
  鶏は、何事もなかったかのように、えさを啄ばんでいた。
  わたしの心に、得も言われぬ不条理な憎しみが一点残った。
  その憎しみは、おそらく原罪というものに近い苦しみを孕む。
  そして、それを抱いたものを執拗に蝕む。
by kokoro-usasan | 2010-11-20 12:25 | つぶやき | Comments(0)


閉じられていないもの


by kokoro-usasan

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