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2010年 03月 19日
![]() 「20世紀少年<最終章>」をDVDで見た。先日「めがね」を貸してくれた同僚が、「これは見ても 訳がわからなくてつまらないかもしれないけど」とダビングしてくれたのだ。わたしが、 「モンスター」を全巻読んでいることを彼女は知らない。「モンスター」は最後の「自転車」 のエピソードにやられた。「20世紀少年」も溜息の出るようなナンセンスの果てに、ここに 行き着く。 ![]() 亡くなった父が、生前、一度だけ、私に言った。「ここまで生きてきて、どうしても 後悔していることがふたつある。ひとつは小学生のとき、吹雪の中、山向こうの部落に 徒歩で帰らねばならない小さな貧しい兄妹に、仲間と一緒に汚い嘲笑の言葉を投げ かけて騒いだこと。雪嵐のなかに消えてゆく二つの背中が今も目にやきついていると。 もうひとつは、苦学して大学に通っているとき、自分もまた屑扱いの弱い存在であったのに 学校にもいけず働いている朝鮮人の若者に「ちゃんころ!」と言ったこと。 ![]() 父は、耳を澄ましていたはずだ。わたしには、幼い頃、在日朝鮮人の貧しい同級生がいて、 踏み切り脇の、電車が通るたびにがたがたと揺れる掘立て小屋に住んでいた。 その子が、わたしの誕生日にプレゼントしてくれたノートをわたしは父に見せた。 それはお姉さんと一緒に手作りしてくれたという広告の裏を使ったノートだった。 「手作りなんだよ、すごいでしょう」と、わたしは父に、その友達にどんなにいつも 親切にしてもらっているかをしゃべり続けた。 ![]() だが、小学校2年あたりから、彼女の記憶がぷっつり無くなる。転校したのか、 或いは、当時の政策で祖国に帰ったのか、わたしには判らない。 「20世紀少年」の感想になっていないな。 「おい」 最終章、タイムスリップした主人公が、「自分」と、「勝又」に呼びかける その 「おい」 という言葉の万感のおもいを、夜の闇の中で、わたしは考えていた。 お父様が、その二つの思いを、何十年も、持ち続けたことが凄いな。その思いを持ち続けることは辛いことだったろうけど、そのこともまた、お父様の輪郭をかたちづくる大切なことだったのでしょう。そしてそれを、kokoroさんに伝えた。お父様は、人が人であるために必要なことを、自分の苦い後悔を語ることで教えたかったのかもしれない・・・その言葉に勝る教育はないと思いました。すこし観点はずれるかもしれませんが、今年読んだもっとも痛切な小説「空也上人がいた」を思い起こしました。 書物でかくあるべきということを読んで身に付けてゆくものもありますが、身近な人のふっと漏らした言葉が妙に心に残ることってありますよね。父の言葉に限らず、なんの難しい話でもなく、とてもシンプルなことなのに、言われてみないと判らないことがたくさんあって、怖いくらいです。「なにを後悔しているか」ということのなかに、自分が一番大事に思うことが隠されていることもあるかもしれませんね。
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